心臓が止まるかと思った。
何でやねん、何でバレたんや…!?

「な、なに言っとんねん。俺は…」

不自然に声が震える。こんなの自分で違います言うとるようなもんやろ。
冷や汗が頬を伝う。


『ユウジやろ?ほんまは最初から気付いてたけど、黙っとった。』



あぁ、終わった。
全身がすくみ、立っている感覚が消えていく。世界が真っ暗になる錯覚と共に、温度が下がっていく。さっきまでいた外はあないに暑かったのに。

嫌われたやろな、嫌われたどころやなくて軽蔑されたか。
でも、殴られる覚悟も嫌われる覚悟もしてきたんや。

逃げたらあかん。

「…すまんかった。」

『気にせんで、うちのためだったんやろ?ありがとうな。』


何でこいつはこんなに優しいんや。
理由も聞かずに毎回"気にせんでええよ"って許してくれる。見舞い来るたびに迷惑かけとるのに、また来てねって言うとくれる。
俺やったら絶対キレてるわ。


俺自身はうまくできたと思っていた白石のふり。
一体何がダメやったんやろか。
3年間おっても分からんかった、俺が見逃していた癖があったんか?

「なぁ、何で分かったん?」

『言ったやろ。うちずっとユウジのファンで大好きやったんや。好きな人、間違うわけないやろ』

「…白石のことか?」

小学生の時から一緒におったら分かるもんなんやなぁ。

『今はユウジや言っとんねん!』

「…は、俺?何がや。」


『…ユウジのことが好きやって言っとんのやドアホ!!』


…こないなことやったらさっさと告白しとけば良かった。逃げへんで返事聞けば良かった。

「俺も、ゆかりが好きや…。」

『うちも好きやで。』


せや、とゆかりは唐突に目の包帯を外し始める。…なんやねん、手術成功しとったんやないか。
初めて見たゆかりの目は誰よりもきれいだと思うんは、惚れた弱みっちゅーやつか。

これで二つの大きな不安が一気に飛び去っていった。


『これからはずっと、一氏ユウジでおってな?』

「当たり前や、嫌んなるくらい毎日一緒におったるわ。」




『それとな、うちユウジが白石のふりしてきたとき一回も白石の名前呼んでないで?』

「き、気づかへんかった…。」

『あと白石、うちがユウジのこと好きなん知ってるはずや。』

「なんやねんもう…。」


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