「ゆかり!」
『どうしたの、謙也。』
今日は付き合いはじめて、最初に迎える彼女の誕生日。 祝いたくて祝いたくて数日前からウズウズしとった。フライングしてまいたかったわ!
日が変わるときには電話、朝起きたらメールで二度伝えた。 ありがとう、そう言った彼女の優しい声がまだ耳に残っている。
プレゼントもだいぶ前から用意をはじめてた。 どんなもんが好きかよく分からへんから白石の姉ちゃんや妹さんに相談とか乗ってもらって、選んだのが指輪や。
ものごっっつ照れ臭いけれど、付き合うとるんやから一つくらいお揃いのものが欲しいやん!
買う時に、
「彼女さんにプレゼントですか?」
「ち、ちがっいや、あの…はい。」
「それならこちらも一緒にいかがでしょうか。」
渡されたのはチェーンのネックレス。首からぶら下げられるようになっとるんや。 …学校で指輪は目立つやろしな。 迷わずにそれも買うた。
「誕生日おめでとう!」
渡したくてずっとうずうずしとったプレゼント。やっと渡せるわ!
『え、ほんまに…ありがとう!』
「おおきに!」
『あのさぁ、謙也。ずっと言うタイミング逃してたんだけど、何か忘れてたりしない…?』
「…なーんも忘れてへんで?」
教科書も辞書も忘れとらんし部活あるから練習着もちゃんと持ってきたし、ゆかりの誕生日は3月17日で間違いない…ん?
…あ!せやった!
「俺も誕生日やったわ!」
『そう!ずっと一人で盛り上がってるから言えなかったんだよ!…謙也、誕生日おめでとう。』
一人で食べるには少し大きめの、けれど二人ならちょうどいいくらいのケーキ。
『手作りしてみました!』
どや!と渡してくるゆかりはめっちゃくちゃ可愛かった。
今日が俺たちにとって、 最高の1日になりますように。
ってかゆかりと一緒にいれるだけで最高っちゅー話や!
『誕生日おめでとう。』
「誕生日おめでとう!」
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