手術の3日前。

ゆかりんところに行くか行かないかむっちゃくちゃ悩んだ。
自分で行くか、白石になって行くかも悩んだ。

結局、昨日のことを謝るために一氏ユウジで行くことにした。



…あぁ、今日も練習か。気が重い。

あんまり寝れへんかったしなぁ。

…あいつに嫌われたら、許してもらえへんかったらって考えると怖くて眠れなかった。

片想いで寝れへんて、女子か俺は!


「おいユウジ。」

「…なんやねん、白石。」

「まずお前は顔洗ってこい、コート入んのはそっからや。ひっどい顔しとるで?」

白石にコートからつまみ出され大人しく水道へ向かう。
蛇口を横に傾け頭を突っ込む。
冷たい水が気持ち良い。


「ユウジ、どげんしたと?」

水を止め顔を上げると、方言から予想はついてた、千歳がおった。
またこいつサボってんのか。

「頭冷やしとるだけや。千歳もはよ練習行き。」

「…そげん辛そうな顔ば見せられたらほっとけんね。」

「サボる理由が欲しいだけやろ。」

「仲間の心配したらいかんね?ユウジは俺んこつ、四天宝寺の仲間と思っとらんと?」

それは違う。言おうと思ったが不適な笑みを浮かべる千歳はきっと分かっている。

「俺もまだみんなと会ってから日そんなには経っとらん。」

「…おん。」

「1日の仲だろうと1ヶ月、1年の仲だろうと友だちには変わらん。そんなに思い詰めなくて良か。」

まるで俺のことを知ってるかのような言いぐさだった。

「怯えないで良かとよ。」

そして千歳は部室に向かい、俺はまたコートへ足を運ぶ。


…せや。

出会ったのがこの間だろうが小学生の頃だろうが関係ないわ。
同じ学校のやつで、もう知り合っとるんや。心配したってなんもおかしくあらへん。

それに片想いが重なっただけの話や。


片想いが恥ずかしいんか?
アタックして振られるんが怖いんか?

んなこたあらへん!やったるわ!




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