白石が来るまでの間、3人で部室で暇潰しとった。 病院も早く行っても空いてへんし朝は忙しいやろうしな。
他愛もない話して白石が来た。
「それじゃアタシたちは行くで。」
「ほな、自主練頑張りや!」
「おう!ほなな!」
すれ違う時、白石にポンと肩を叩かれた。 ほんまいちいちかっこええやつや。
「前会ったとき、ゆかりちゃんどうやった?」
「特になん、も…」
…そういや俺、一氏ユウジで会ったとき泣かしてしもたんや! しっ、しかも俺、だだ抱き締めへんかった?!
次の日のこと考えすぎてすっかり忘れとったわ!
「なっ、なあ小春ぅ…俺やっぱ行くのやめるわ…。」
「今更何言ってんねん!もしかしてユウくん…ゆかりちゃんのこと好きになってもた?」
「ちちっ、ちゃうわ!!」
「隠さんでもええやないの!あぁ、やっとユウくんにも遅めの春がきたんやなぁ…。」
途中から小春に引きずられるようにして病院についた。 ああ、ほんま気まずい!
小春おるし、白石のふりはでけへん。 考えてる間も小春に引きずられてすぐに病室の前まできてしまった。
ここは男、一氏ユウジ。 心決めてくしかあらへん…!
「ゆかりちゃん、えらい久しぶりやんなぁ!」
『小春ちゃん来てくれたん!?えらい久しぶりやん、元気やった?』
「あとユウくんもおるで、ほら挨拶しいや!一氏なだけにウジウジしてないで出てき!」
「こっこの間ぶり、やな…!」
それでも体はひけてしまって、ゆかりには見えてないのに小春の後ろに隠れてまう。 とっとにかく謝らなアカン!
『一氏くん、この間はプリントありがとうな。助かったわ!しかも長々話し込んでまって…』
「ええって!あ、あと、俺の方こそすまんな、あんなこと言って…」
『気にせんでええよ!うちもまだまだ子どもやってん、けれど今はもう大丈夫やで。』
…それは、俺が白石のふりをしてるおかげなんか? そうだったらええのに、そう思う反面やっぱり白石のことがまだ好きなんかなって。切なくなる。
今日俺が来たから、やったらめちゃくちゃ嬉しいのにな。
「そういえば手術はいつなん?」
『4日後やで。たしかちょうど1週間前に一氏くんがお見舞い来てくれたんよね。』
「他は誰か来てないん?」
『最初の方にな、友だちめっちゃ来てくれたんやけど騒ぎすぎて怒られてしもてん。そっからあんま来てくれなくなったわ!』
「…他の、やつは?」
『きてへんよ。』
嘘やろ! 俺が毎日白石のふりして来とるやん。 …なんで、わざわざ隠すん?
「すまん、俺もう帰るわ。」
小春の声が聞こえた気がしたけど、知らんわ。 なんで隠したんか知らへんけど、それが俺にはショックやった。
***
「なぁ、小春ちゃん。今おったんは一氏くんやんな?」
「そうやで。…急にどないしたんやろなぁユウくん。」
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