修学旅行以来の空港。 春から連想するのは出会いと別れ。
入学進学卒業就職、今までの知人友人と別れ新たな人間関係を築く。
3月に入って少し経つ。3月は、春。 わたしたちは高校3年生で、少し前に卒業した。
『本当に、帰っちゃうんだね。』
「…すまんね。でも、本当はもっと一緒にいたか。」
私の恋人は中学3年生の時、目の治療のため九州から転校してきた。 本当は中学卒業と一緒に帰るはずだったらしいけど、高校も四天宝寺の人たちとテニスを続けるために残ったらしい。
そうとも知らず、わたしはどうせ転校してしまうならと卒業式の日に告白した。どうせ断られると思ったし、もう二度と会うこともないだろうって。 そうしたらまさか良い方の返事をもらえて、後々転校しないことを聞かされた。
『3年前の卒業式の日、覚えてる?』
「もちろん、覚えとると。」
『本当にあの時びっくりしたんだからね。高校行ったら千歳がいたんだもん!』
メールもうまくかみあってなかった。 それに気付いているんだかないんだか千歳も合わせて返してきたし。
「日曜日散歩でも行かんとね?」 『えっ距離遠すぎない?会うだけで散歩どころか旅だよ!』 「ゆかりは散歩好きじゃなかと?」 『割りと好きだけど。』 「それじゃあよかばい。」 『次元が違う。』
1ヶ月勘違いして過ごしてたなんて恥ずかしすぎる。
『今回はもう、勘違いじゃないんだよねぇ。』
寂しい、3年間隣にいたんだもん。 九州に帰ったら前の友だちに会ってそこにはもちろんわたしの知らない女の子がいて、そのうち忘れた頃にその子と付き合っちゃうのかな。
『遠距離、無理だと思ったら遠慮しないでね。』
「…アホなこと言うんじゃなか。」
千歳は九州に帰ってお父さんのお仕事の手伝いをするらしい。わたしは短大に通う。 短大なんて行かないで千歳のお嫁さんにでもなれば良かったかな。でもまだ自分たちは18歳なんだ。結婚をするにも親の許可が必要な歳だと言うことを考えるとまだまだ子どもだ。
『それかわたしが千歳不足に耐えきれなくて死んじゃうかも。』
「…あと2年。」
『は?』
「俺とゆかりが結婚するまでの期間たい。ゆかりが卒業したら迎えに行く。…陶芸家のお嫁さんは嫌かね?」
『…嫌なわけ、ないじゃない!』
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