やっとはじまった夏休み。 休みや言うても俺らテニス部は練習漬け。朝から夕方までずっと小春とおれるしええんやけど、むっちゃ暑いし気分はあまり乗らない。
まっ、せやけど夏やからな!思いっきり遊ぶで! 海にプールに祭りに花火大会、ぜーんぶ小春と行く予定や!…細かく言うとテニス部で行くんやけどな。
初日の部活は午前で終わり。 これから全国へ向けてもっと忙しくなる。勝ったもん勝ちっちゅーには絶対負けちゃアカン。 もっともっと強くなるんや。
やから数少ない時間は有効に使わなあかん。 テニス部で集まらんかったら大体は小春と過ごすことになるやろうけどな。小春と過ごすんは最大の時間の有効や!
よし、小春誘って帰ろ。 せやついでに忘れた宿題取りに行くんやった。 小春についてきてもろて職員室に寄って鍵を借りる。そのまま問題なく忘れモン取ってまた職員室。
「先生、鍵あざーっす。」
「おっ、ちょうどええとこに一氏と金色!」
「どないしたん先生?」
「俺今日から部活の大会でしばらくおらんねん。そんで、ちょいと前から休んでる香川さんおるやろ?今、目が見えへんくて入院しとんねん。」
あぁ、絶対めんどくさいのくるわ。
「かわりにちょいちょい顔出しにいってくれへん?」
嫌に決まっとるやろ! 他人や他人、そんな奴のために俺と小春の時間は邪魔させへん!
「ええですよ。」
「小春ううう!?」
「やってうちゆかりちゃんと仲良しやったし。最近学校で見いひんかったから心配やってん!」
「ほな、頼むわ!」
病院の場所と部屋番号が書かれた紙を受けとる。 気は進まへんけど小春の友だちのためや、しゃーない。行くか。
それが恋のはじまりになるなんて思っても見いひんかった。
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