あぁ、めんどくさいことになった。

千歳千里のパシリって。しかもあいつ元ヤンなんでしょ?
タバコとか酒買ってこいなんて言われてもわたし無理なんだけど。

「めずらしいな、千歳。今日は学校来とるんやな。」

「まぁな、ゆかりおっと?」

「なんやもっとめずらしいな、呼んできたるわ。」


呼ばなくても聞こえてますけどね!
あぁ、行きたくない。

「ゆかりさん、千歳が呼んでるで。」

『うん、ありがと…。』

でも足を千歳千里の方へ動かしたくはない。普通に怖いし。超でかいし威圧感やばいし。

「ゆかりはやくせんと、」

『行きます行きます!』

ちくしょう。周りの目も白石くんだけじゃなくて千歳くんもなの!?みたくなってるし。違いますよわたしは脅されてパシられてるんだよ!

「文句ありそうな目ばい。」

『そんなことありません文句なんかないです。千歳千里様何かご用でしょうか。』

「昼、購買でパン買って屋上持ってきてほしか。」

『…分かりましたぁ。』

お金を渡される。

「メロンパンは絶対だっちゃ。他は何だってよか。それとゆかりも自分の弁当持って来なんせ。」


それだけ言って千歳千里は教室に帰っていった。
マジでパシリなのかよ!


昼が来なきゃいい。
そう思っている日に限ってあっという間にやってくるのは神様のイタズラかなのか。神様くたばれ。

メロンパンは人気商品だから急がないと売り切れる。
わたしは四天宝寺に入ってから初めて購買に向かって走った。いつもクラスの男子はこんな思いをしていたのか。

全部コッペパンでも買っていってやろうかと思ったけど怒ったら多分超怖いから仕方なくご所望だったメロンパン、やきそばパンにコロッケパンとサンドイッチ。

渡されたお金でぴったりになるように買ったけど飲み物なかったら絶対口パサパサになるよね、パンだし。
使えるパシリのわたしは自販機でお茶を奢ってあげることにした。

ていうかわたしこのメロンパン好きなんだよね、食べちゃいたいんだけど!


「お待たせしましたー。」

『…待ってなかよ、今起きた。』

本当に今起きたみたいだ。授業サボってやがったな。
パンとお茶を渡してお金はピッタリ使ったことを伝えた。

「ん。」

手渡されたのはメロンパン。


『…は?』

「それが好きって聞いたばい。」

『あ、ありがとう…。』


いまいちこいつの考えることはよく分からない。





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