俺の彼女はテニス部のマネや。

ショートカットで色気のあらへんぺったんこの胸(言うたら殴られるけど)それにタイプの家庭的なやつでもない。
ボールを運ばせたらコケてばらまきよるし、ドリンクはいつもうっすいし、洗濯は先輩が干すと破りよる。ほんま野蛮や。
それにマネージャーよりプレイヤーの方が向いとるんちゃう?ってくらいテニスの才能がある。
女テニに入れば…まで思ったけどあの先輩やったら相手の子怪我させそうやし、マネで正解や。

男か女かって聞かれると、大体の人は男って答えるやろ。


そんなでも、先輩は人に好かれる。
それがマネを3年間続けられている理由だと思う。




そそっかしくてガサツで女らしいところなんて滅多にないんやけど、気付けば俺も彼女に惹かれていた。


部長にそれは恋やで!言われてやっと気付いた。そして今、恋人という関係を築けた。



そんなやつが、部活の時間になってもこない。
サボる人やあらへん。問題に巻き込まれとる可能性がある、と部員総出で捜索がはじまった。

下駄箱に靴はある。
とりあえず先輩の教室に行った。カバンは置きっぱなし。どこふらついとんねん!
まだ残ってる人おったから話聞こ。


「ゆかり先輩知らへん?」

「知ってるに決まってるやーん!同じクラスやし。なー?」

「なー!」

「いや、どこにおるかなんすけど…」

「冗談やって!屋上に呼び出されてから帰ってきてへんよ。」




ほんまアホなんとちゃう!?
なにノコノコと呼び出しについていっとんねん!ほんっまにアホや!!


先輩の教室を飛び出して屋上への階段をかけ上がる。
何で3年の階は一番下なん、屋上に着く頃には息切れハンパないし足ガックガクや。

勢いのままにドアをぶち開ける。

「だから別れろ言うてますやん!」

『さっきから別れへん言うてるやんか耳悪いんか?ああ゙?!』

「ていうか何で先輩がマネージャーやってはるんですか!」

『1年の時にマネージャー志望で入部したからに決まってるやん!』

「何であたしらの代にマネージャー枠ないんですか!」

『オサムちゃんに聞けアホウ!』



「先輩、何してはるんですか…。」

普通この展開は、リンチくらってピンチな彼女を彼氏の俺がかっこよく助けていじめなくなりましためでたしめでたし、のはずやろ!

なにおもっくそケンカしとんねん!
…ひょうしぬけやわ。


『光、部活はどうしたん!』

「あんたを探してたんすよ。」

『もしかして心配してきてくれたの?優しいんやなぁ光は…!』

「…ちゃうわ、あきれとるんです!」




…こんなんでも好きなんや。
ま、しゃーないすわ!



title/確かに恋だった


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