何があったか知らへんけど、四子さんが今日俺に告白してくるらしい、
余計な手間が済んでラッキーや。

俺はオフ会とかしたことあらへんから、ネットの人…ちゅうても同じ学校なんやけど、現実で会うのは初めてや。
半分は好奇心、もう半分は期待。
そんでちょっとの緊張。

喋ったどころか会ったことも記憶にあらへん女とは違う。
憧れていた四子さんや。


登校して真っ先に見る下駄箱。
古典的なラブレターはなかった。さすがに時代遅れやな…。
っちゅーかそわそわして、いてもたってもいられず、早めに学校来てもた。朝練行けばよかったわ。
もちろん四子さんが来てるわけない。

上履きに履き替え、靴をしまう。
ああ、はよ会いたいわ。


『あ、あの!』

俺のことか?朝っぱらから誰や。しぶしぶ振り替えるとそこにはこの間の女。

「…なんやねん。」

『財前くん!こっ…これ、よかったら読んでください!』


可愛らしい封筒、あぁ手紙か。…まさかの古典的なラブレターやった。

もしかしてこの人が四子さんか?

『じゃ、じゃあわたしはこれで…』

「待ちぃや!」

思わず引き留めてしまったけれど何を言えばええんや。直接聞いて四子さんやなかったら恥ずかしいわ。

「…いつからや。」

『っは!?え、えっと…中1の秋からです…?』

「なんで、俺なん?他に優しいやつとかそこらじゅうにおるやろ。」

何で質問攻めしとるんや。
…向こうも想定外だったらしくかなり慌てとる。でも慌てとるんは俺も同じや。この人が四子さんかもしれへんのやろ?


『中1の時な、わたしが美術の時間に描いた絵がコンクールで入賞して、廊下に飾られてたんやけど…』

「で?」

『あ、あんな、財前くんは絶対覚えとらんと思うんよ!』

「ええからはよ言えや。」

『…通りがかりに、きれいな絵やって褒めてくれてん。それっから絵、スクール通って描きはじめたんや。あ、ありがとうな?』

…全然覚えとらん。
もしかしたら思い出せるような気もするけれど、目の前にいるのはきっと、四子さんや。

「…で?」

『そ、その時から財前くんのことが、すっ好きです…!』

あぁ、顔真っ赤にしとる。
…かわええ、な。


かわええ?…気のせいやろ。






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