「なぁゆかりちゃん、今日バレンタインなんやけど。」

『…用意してないです。』


あぁ、言うと思った。
俺の可愛い可愛い彼女はこういったイベント事には無関心。クリスマスとか誕生日も俺が言わんとすっぽかしそうになる。
俺の誕生日は祝ってくれたけど(前もって言ってあったからな)自分の誕生日をすっかり忘れとってクラスの子に「ゆかりちゃん、今日誕生日だよね?おめでとう!」って言われて気付いとった。俺は教えてもらってもなかったわ。

アホっちゅうか、抜けとる?

そんな彼女に俺はベタ惚れなんやけど。


「そう言うと思ってたわ。」

『うん、ごめん。』

あははー、来年は忘れないようにするよって。
…それ去年も聞いたわ。

「それも言うと思ったわ。何度目やねん。」

『…ごめんなさい。』

「怒っとる訳やないで、ゆかりちゃんが忘れるってほぼ確信しとったしな。俺が用意したわ。」

『ほんと!?』


ほんま可愛い子や。
常に一緒におらんと他の男にフラフラついていってまいそうやけど。

「まぁ持ってはきてへんけど。」

『なんで!』

「俺もゆかりちゃんからのチョコ、欲しいねん。だから一緒に作ろ思うて材料用意しとる。」

我ながらいい案やと思った。ゆかりちゃんからチョコもらえるし、俺からもあげれるし一緒におれるし。帰る道反対やから学校以外で一緒におれること少ないねん。

「せやから今日、一緒に帰ろうな。」

『うん、めっちゃ楽しみにしてる!』


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