最悪だ。
つい先週の科学の授業で中テストがあったらしい。

らしい、というのはその時間自分は保健室にいたのだ。
しかもテストの不合格者には補習(というかプリント)がある。なのに教室には一人しかいない。

なぜならクラス全員合格して、受けていないわたしだけが補習対象だった。

どうせみんなカンニングでしょ!
なんて理不尽…!



『何でみんな受かったの、ぜんっぜん分からないんですけど!誰か教えて下さいー…。』

はは、誰もいない教室でこんなこと言っても無駄ですよねー。

「せやったら俺が教えたろか?」

『え、まじ!…って、白石くん?』



目の前の問題をどう倒せばいいか悩んでいたら、いつのまにか四天宝寺のアイドル・白石蔵之介くんがいた。同じ学年はもちろん、後輩や他校生・卒業してもなお彼のファンだという人もいる。

わたしはファンというか恋とかいうより、憧れが近いけれど。すごいなぁとしか思わない。



あれ、部活どうしたんだろ。

「今日はオフやで。」

『心読まないで恥ずかしい。』

「それより科学分からないんやろ?俺得意やねん、教えたるわ。」

『助かる、ありがと!』

お言葉に甘えて教えてもらうことにしました。一人じゃ絶対に終わらない。


…白石くんが頭良いってことくらい周知の事実だけど、教え方まで上手なんですね。
何故か今まで入ってこなかった知識がするすると覚えられる。

あぁ、脳みそをちょこっとでいいから分けていただきたい。


『うおお、白石くんありがとう!先生に教えてもらうよりもすっごい分かりやすかった!』

「はは、照れるわぁ。…でも、ゆかりさんがやればできる子やったからできたんやで。」

白石くんの助けもあって無事に課題を終わらせることができた。

教えてもらったのをそのまま写しただけなのに褒めてくれるって白石くんほんっと優しいなぁ。


『ほんとにありがとう!じゃ、わたしはこれ先生に出してくるね!』

「ほな、また明日な。」





『あれ。』

プリントを急いで出しにいき帰る準備をする。戻ってきた教室のわたしの机の上には見慣れないシャーペンが置いてあった。



…白石くんのかな。

急いだらまだいるかもしれない。
どうせ急いで帰るんだし、いたら渡しに行こう。


わたしはすぐに教室から飛び出した。


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