世の中のカップルや片思いしてる男子女子諸君にとってこの日は一大イベント。 なんとかちゃんがなんとか君にチョコを渡したとかフラれたとかいう噂に皆色めいている。
わたしも一応、彼氏がいる身だ。
はりきって手作りしようとしたら彼氏・仁王雅治に全力で止められた。 料理は苦手だけど、愛さえあればなんとかなる! …そう言っても止められた。
だから仁王はチョコが苦手という解釈を勝手にすることにした。 前向きに生きないと人生損するからね!
だからチョコは用意しなかったよ、残念だけど。
「おはようさん、ゆかり。」
『あぁ仁王。おはよー』
「さっそくじゃが、ほれ。」
きれいにラッピングされた箱。 崩すのはもったいないけど、うん、中身食べたいから開ける。 思ったけどなんでこんな食い意地はってる女が好きなんだろうね。
中に入っていたのはガトーショコラ。
『わ、おいしそ!』
今日お弁当フォークだったっけ。探そうとしたら仁王が先に用意してくれていた。気が利く。
いただきます、と朝っぱらからケーキを食べる。 あぁ、美味しい。超幸せ。
「どうじゃ?」
『仁王わたしのお嫁さんにならない?』
「お婿さんなら喜んでいくんじゃが」
『はは、すっごい美味しいよ。』
家にまだあるから今日くるか?と聞かれ、行く!と即答。 仁王と付き合いはじめてから確実に太った。そしてさらに肥えてきてる。 …幸せ太りってことにしとこ。
『わたしも、仁王に渡すものある。』
「…それは、手作りか?」
なんで一気に青い顔するの。 失礼な男だな!
『残念ながら違います。』
そして安心してる。今度、弁当とか作ってきてやろ。 顔に出てたのか「物騒なことは考えちゃいかん」って。わたしの手料理は凶器か!
『はい、これ。』
渡したのはマフラー。 寒がりなのに何故か自分で防寒具を持ってこない仁王は、よくわたしのマフラーを持っていく。 普通は「寒くない?ほら、僕のマフラーを貸してあげるよ。」ってなるはずが完全に逆だ。しかも貸すなんて言ってない。
最近風も強いし厳しい寒さはまだ続くし取られちゃたまらない。 だからわたしのと色違いのマフラーを買ってきた。
「…ありがとう、な。」
『今日はお揃いでつけて帰ろうね。』
back
|
|