たくさん買い物して、おいしいパスタ食べて、おゃべりして長かった一日がやっと終わろうとしてる。
いくらわたしの親がいるからって遅くまで連れ回しすぎたなぁ。反省。

千石の家の前、白い息が上がる。


「ねぇゆかりちゃん。」

『ん?』

「今日遅刻してきちゃったことなんだけどさ、」

すっかり忘れてた。
今日のデートに千石は遅刻してきたんだった。もう何時間前のこと。

『わたしもう気にしてないって言ったじゃん。どうしたの?』

「ほんとはさ、これ選んでて遅くなったんだよね。」

左手出して。って言われたから素直に出す。次は手袋とってって言われたから少し渋って手袋を取る。

千石が取り出したのはペアリング。


慣れていそうで、そんなことはなく。震えた手付きでわたしの手に小さい方の指輪をはめる。



「まだまだ先のことなんだけど、」

『…うん。』

「頼りないこんな俺だけど、」

『…うん。』






「ずっと隣にいてください。」




end




back