跡部がMで若干の暴力有ります。






念願の氷帝学園に入学できた。

残念なことにあたしの念願じゃなくて、親の念願だけど。

中学受験なんてする気なかったし、普通に公立行って小学校からの友だちとまた楽しく過ごす予定だった。
テストだって親には悪いけど落ちるつもりで適当にやった。


それがどうしてこうなった!



授業は入学したばかりでまだなくて、教科書を配ったり学校案内だったり。学校案内に1日かかった昨日は、卒業までに覚えることは不可能だと悟った。

今日はクラスで親睦を深めるためのレクリエーション。
親睦を深めるどころか外部入学のあたしは誰一人知ってる人がない。いや、なんかあの変な自称キングくらいは知ってる。運の良いことか悪いことか同じクラスだった。

今日友だちができなかったらきっとグループに入り損ねて一人ぼっちの一年を過ごすことになるんだ。

それだけは避けたい。


担任の提案でドッジボールになったんだけど、こんなお嬢様お坊っちゃんが集まる学校でやっていいのか。明らかにクラス一人浮いてるからね、ショートカットの女子率の低さ。
ついでにケガさせたら多額の治療費を請求されて学校にいられなくなりそうで怖い。

けどやるからには本気でやるよ!

準備体操を各自いれて、ボール回しをして、あれ。

…意外とやる気の人が多い?

あたしもその一人だけど。スポーツの特待生とか結構いるのかな。意外だった。


フ、フフ、フハハ!まぁ、特待だか何だか知らないが伊達に田舎娘やってないさ!
毎日休み時間と放課後はドッジボールに費やしてきた日々は無駄じゃない。今日が活躍する日!

クラスで2チームに別れる。
自称キングとは違うチームということは知ってる人がチームにいないのか。

よし、あたしが女の子を守って男子を踏み潰してクラスのヒーローになってやる!
男にモテるより女の子にモテたい、そんなお年頃なんだ。誰にだってそんな時期はあったよね。あれなかった?


ピーッという先生の笛でドッジボールが始まる。


さすがにみんな初めて、という訳ではなかった。
いやでも髪の毛くるんくるんでおめめパッチリのあの子が運動してるところが想像つかない。体育の授業やるのかな。


ちなみにボールは二個。
ジャンプボールに見事二人とも負けて相手からの攻撃。さっそくボールが飛んでくる。それを見事にキャッチ!流石自分!

女子からの歓声が気持ち良い。


…生まれる性別完全に間違ったわ。

もう1つのボールも男子が取って、狙いを定めたのは自称キングの跡部景吾くん。
渾身の力で投げられたボールはなかなかキレのあるもので、思わずあたしは『おおっ!』と声を出してしまったが、跡部景吾は難なくそのボールを取った。

あのお坊っちゃん、なかなかやるじゃないか。


「あーん?俺様を狙うとはいい度胸してるじゃねぇか。どこのどいつだ。まぁ、その心意気は褒めてやるがな。だが俺様を狙ったことを後悔させてや『なげぇよ!』

聞いてられなかった(聞く気がなかった)ので、声を遮り思いっきり投げてやった。ら、

「っ゙!」

顔面にクリーンヒットしてしまった。






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