時が流れて欲しくないときほど針が速く進むのは何故だろう。 あっという間に放課後がやってきて千石が迎えに来た。
「すぐ、終わるから。」
それってどういうこと? 聞きたいけど怖くて聞けない、前の自分だったらきっと言えたのに。 ほんと、弱くなった。
無言のまま廊下を歩いて、階段を上ってすぐに屋上に着く。 ドアを開いたら、昼休みに千石に告白していた可愛い子。それだけじゃなくて他にも数人(取り巻き?)がいた。 状況がイマイチ掴めないんですけど、わたし大人数目の前にして振られるの、え?
「ごめん。」
いまいち状況が掴めないまま千石は口を開く。
「たしかに俺は女の子が好きだしもちろん今も好きだけど、もうゆかりだけなんだ。..たしかに最初は興味っていうか、付き合えたらいいなって気持ちだったけど」
つらつらつらと、思いを口にしていく千石。 私の顔はもちろん千石も真っ赤だし、女の子たちも若干赤いというか顔が引きつってる。
ほんと、どんな状況よ!
「ごめん、今まで期待させるようなこととか俺が調子乗ったことばっか言ってて。」
「い、いや..あのぅ....。」
「せっ千石くんは何も悪くないって!」
「.......。」
取り巻きの子は千石くんを庇うけど、あの可愛い子は無言のまま。 ちょっと目に涙が浮かんでるのは本当に本当に、千石のことが好きだった証拠なんだろう。それを分かってたから、千石ははっきりさせようとしたのか。
悪い気もするけれど、今の私はさっきまでの不安はなくなって幸せでいっぱい。
そして振り向く千石。
「もう、ゆかりだけだから。」
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