校門で千歳の部活が終わるのを待つ。
私も部活に入っているけれど、テニス部ほど長々やらない。
女の子だったら家庭部とか茶道部とか入るんだろうな。ちなみにわたしは運動部です。体育会系女子なんですね、ノリはそこまで熱くないけど。

「待たせたっちゃ」

『いや、待ってないよー。』

ミーティングだけだったけど、部室からテニス部の様子見えるし。
片付けが始まってから出てきたから20分も待ってない。そう伝えると、

「それを待ったと言うたい!」

『は、はい。』

す、と無言で出された手。
繋いでもいいんだろうか、迷ってしまい中途半端に上げた私の手が寒い。
すると千歳の方から繋いでくれた、良かったのか。

「たいぎゃ冷たか〜。」

冷たいなら繋がなきゃいいのに。でももったいなくて自分からは離せない。
千歳の手はさっきまで部活だったせいかまだ暖かくて冷えた手に心地よさと幸せを感じだ。


『ねぇ、千歳。』

「どうしたと?」

『このまま、手を離したくないって言われたらどうする?重い?』

ピタッと千歳の動きが一瞬止まる。
あ、言わなければよかった。しかし一度言ってしまった言葉を消すことはできない。
うざいって思われたかな、重い、うっとおしいって思われたよね。

『ごめん、今の聞かなかったことに「ゆかりは、離したくなか?」


するっと握られた手が解かれたとき「あ。」と零したらまだぎゅっとしてくれる。
この人の一句一言、一つ一つの行動で落とされたり舞い上がったり。どんだけ振り回されてるんだわたし。絶対今の解かれたときの顔やばかった。
恥ずかしくなってうつむくと上から聞こえる優しい声。


「ゆかりはたいぎゃ俺のことば好いとうみたいね。」

『す、好きで悪かったね!』

「悪いとは言ってなかと。」

でも、昼休みに聞いた話。


「重いのとか縛られるの、嫌いらしいじゃん。」

「ゆかりは別たい。」

飄々と言われ、「あ、うん。ありがと..。」としか返せなかった。
ふらふらして急に消えたり出てきたり、でもなんだかんだ愛されてるのか。


「千歳、好きだよ。」

「俺もゆかりのこと、好いとうよ。」





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