それから少し経った。 リョーマくんとはあれから会っていなくて、美南ちゃんとは何故か前より仲良くなれた気がする。
リョーマくんと会ってはいないけれど電話で話すことはある。 あの告白から生意気さが出てきて、美南ちゃんに聞いて今まで猫を被られていたことが分かった。負けず嫌いで生意気な性格だったらしい。 数年間、礼儀正しい年上を敬う子だと思い続けていた。 はやく俺のところに来た方が幸せなんじゃないっスか、子どもの名前俺がつけてあげます、とか前より気軽に喋るようになった気がする。
美南ちゃんはまだリョーマくんのことが好きみたいだけれど、ほぼあきらめているらしい。そしてそのことを知った幼馴染みから猛烈なアピールを受けていて困っている。 今はその人の相談(というか撃退方法)ばかり受けるようになった。 けれどその人、キヨスミくんの話をしている時は幸せそうな顔をしているから付き合う日はそう遠くないんじゃないかな、なんて思っている。
そんな日々をその数ヶ月過ごしてきたけれど、今わたしに今世紀最大のパニックが訪れていた。
お腹が大きくなり始めて、会社に黙っているわけにもいかない。どうすればいいかと悩みながら家に帰ると何故か鍵があいていた。
リョーマくんに預けた鍵はとっくに返してもらってるし、他に鍵を持っている人は親以外いない。でも両親は来るときに連絡を入れるはずだから親でもない。
朝きちんとかけた記憶がある。 …まさか泥棒?
玄関に入るとそこには知らない靴。ということは誰かが絶対にいる。 おそるおそる廊下を進みお風呂やトイレ、寝室をチェックするけど荒らされた跡はない。
最後の部屋、一番奥にあるリビングの電気が点いていることには少し前に気付いていた。テレビの音が聞こえてきて、部屋が荒らされてないことからまさかと思う。
そっとリビングのドアを開けると懐かしい声。
「おかえり、ゆかり。それとも俺がただいまか?」
そこには、リョーガがいた。
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