それから午後の仕事も、午前のような形で終わらせた。

定時で上がり、スーパーに寄って夕ご飯の材料を買う。一人だったらコンビニ弁当やファミレスで済ませてしまうけど、今日もリョーマくんがくるからそういう訳にもいかない。


『ただいまー。』

誰もいない家だと分かっていても、実家暮らしのくせが抜けずにやはりただいまと言ってしまう。
返事がないのはいつも通り。
そう思っていたら、

「おかえり。」

すでにリョーマくんは来ていたみたいで少し驚いてしまった。
本当におかえり、と言ってほしい相手ではないけれど待ってくれる人がいるって何となく心が安らぐ。

さっそく夕飯の準備にとりかかる。リョーマくんも手伝ってくれて、あまり時間はかからなかった。
おかげで今日は少し早めのご飯にすることができた。

いただきますの一言から言葉はなく、もくもくと食べ進める。
一見暗い雰囲気のように見えるけれど、わたしには一緒にご飯を食べる相手がいるというだけで暖かく感じた。

「ごちそうさまっす。」

わたしより先に食べ終えたリョーマくんはわたしが食べ終わるのを待って、それから台所へ食器を運んだ。
リョーマくんに使ってもらっている食器はリョーガのものだから、少し複雑な気分になる。

本当に若いリョーガといるみたいだ。

リョーマくんを悪いと思いながらもリョーガと重ねてしまいつつ洗い物を終え、二人がけのソファに腰を下ろす。

「あいつのことなんすけど、」

『…うん。』

「あいつが、ゆかりさんのことどう思ってるか俺は知らないけど、もしゆかりさんを捨てるようなことがあったら俺はあいつを殴ります。」

『…ありがとう、リョーマくん。』

「今の俺はゆかりさんと子ども養うくらいできます。その時は俺をリョーガだと思ってくれていいっすから」

いつか俺を好きになって下さい。


そう言い残して、リョーマくんは帰っていった。


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