「あの、ゆかりさん。」
目が覚めてすぐリョーマくんの顔が目に飛び込んだ。 時間が遡った、なんて昨日も思ったけれど本当に昔のリョーガに似ているなぁ。
昨日の夜はご飯の後、久しぶりにお酒を飲んだ。そうすれば寂しい気持ちが紛れるかと思った。
車で来たというリョーマくんに飲酒運転をさせる訳にも、歩いて帰らせる訳にもいかない。バスも電車もすでにないので、泊まらせてしまった。 ベッドを貸すといったのにリョーマくんは引かず、結局わたしがベッドでリョーマくんはソファで寝た。
「さっきからアラームがすごいんすけど仕事とか大丈夫すか?」
『え、嘘!』
まったく気付かなかった。 幸いアラームはいつも早めに設定しているため遅刻するほどではないけれど、少しばかり急がなくてはいけない。
『リョーマくんは大丈夫?』
「平気っす。」
軽い朝ごはんを用意して、リョーマくんには先に食べてもらう。その間にわたしは着替えをすませる。朝食は会社でとることにした。
『いってきます!あ、鍵はポストに入れてくれれば良いから』
「…あの。」
『どうした?』
「話したいことあるんで、今日また来てもいいっすか。」
リョーマくんが神妙な面持ちでそう言うから、多分リョーガ関係のことだと思う。 分かった、とそのまま鍵を預けてわたしは仕事に向かった。
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