「わたし、ちゃんとした所にはきっと帰れないんですよ」


いや
わたしたち ですかねえ



唐突に口を開いた光秀の言葉はほんとうに薄気味悪く、なにが面白いのか心底楽しそうに笑うやつの言葉は相変わらず訳が分からない上に無性に腹が立つ。
でも今回ばかりはなぜだか言い返す気は起こらず、ただぼくは黙って白に隠れた右目を睨んでいた。

(訳が分からねえ、
だから嫌いだ、嫌い、嫌い
大嫌い。)



「でも良いのですよ、貴方は貴方のままで」

「なんだよ、それ」

「ずっと子供のままで居なさい。生にしあわせを感じたいのならね」


(気持ち悪い気持ち悪い、
だから嫌いだ、嫌い、嫌い
大嫌い。)


「…わかんねえし知らないよ。お前の言ってることなんて」


無言、
右目が たぶん笑った。




(本当は
言ってる事が分かる気がして、

だから心底、腹が立つ。)




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