「039さん、039さん、
今日のお出掛けは?」
「本日は嫌で御座いますわ、お化粧が上手くいかないのよ。」
人様に恥を見せてなるものか、と彼女は再び鏡台の前へ。
039――佐倉の自分の美に対する考え方が人とは僅かに、いやかなりずれている。
所謂、ナルシストと云うものに分類されるのかも知れない。
若干他人にも迷惑を掛ける事もあるそれを指摘しても直らない、いや先ず直させる気も僕にも無いのだから別にいいのだけれど。
「……新しい傘とドレス、買ってあげようか?」
「あら、お化粧が大成功!美しいわ、わたくしったら」
現金な彼女。
自分しか愛せない、
愛を知らない彼女。
それが
「さあ、出掛けましょう?」
僕の愛する
囚人番号039 佐倉。