その、彼らしくないコミカルなキャラクター入りのメッセージをもらった時のぼく自身はもちろん、モニターの中のぼくの分身さえも呆然として次の一瞬にはそのうれしさを隠しきれなくて。

(幸せ、幸せしあわせ、
貴女を失ってからはじめてぼくはこんなにしあわせ)


慣れないカードを送信するまでのいろんな表情の彼本人と彼の分身とを想像すると(それはとても容易なこと)それだけでぼくはにんまり自然と笑顔になれる。
そうでなくとも、彼の存在自体がぼくに希望のあたたかさをくれるのに!


「なににやにやしてやがる、エンデュランス」

きもちわりぃ とからから笑う声に顔を上げると、目の前にはぼくの愛おしい愛おしさが。
古都の夕焼け水面に照らされて、彼の綺麗な銀髪一本一本がきらりと輝く。


「ほんとにぼくで良かったのかなあって。
…その、アトリさんとか志乃さんにあげると思ってたから」

びっくりしちゃってね、
ぼくが言うと彼のCGの姿は拗ねたような表情を作った。

「…あいつらは違うだろ。そりゃあ、大切な存在には違いねえけどっ」

何でお前に送ったか、くらい考えてみろよ!



ぷいと後ろを向いて歩き出す彼の怒ったようなおおきな声にちょっと心配になったけどそれは杞憂、すこし覗いたあかい色は、ぼくのうれしいそれ で。


「ありがとう、ハセヲ」

急いで彼の隣に並ぶぼくのコントローラーを握る手がすこしだけ熱くて、エンデュランスも上機嫌。

さっきの空気は何処へやら、慣れた動作で入力されるワードと共にくるくると日常に流転して、
さて、今日はどこに行くの?



彼の為にいっぱいいっぱいおめかしして、その日だけは君に似合うぼくに成りたいなんて、乙女思想なぼくを君はわらってくれるかな?


(ぼくがにんまり
また、にやにや君が笑う!)




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