ところが……。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
 ウボォーがクロロの身体をひっくり返したときだ。
 お互いの身体が向き合うような体位を、クロロはいやがった。
 顔を見せたがらないのは、まだ、彼に羞恥心が残っているからだ。
 まだ、理性が残っているからだ。
「オレはこの体位がいい。つーか、お前が先に、オレのことはいいから好きしろって言ったんだろうが」
 と、ウボォーは言うと、クロロの両脚を開かせる。
「く……っ」
 クロロが息をつめたのは、肛門に、ふたたび熱源が触れたから。
 ウボォーは一気に突き挿れた。
「はぐっ……うぅんーっ」
 ウボォーのペニスは、先ほど射精したばかりとは考えられないほど、硬く張りつめ、クロロの中でビクビク脈打っていた。
 クロロは、両腕で顔を隠した。
 ウボォーが、彼の両腕をベッドへとぬいつければ、今度は横を向いてしまう。
「おい、こっち向けよ」
「かんべんしてくれ……」
「お前がそうやってダダこねんなら……」
 少し腰を引くと、あきらめたようにクロロが正面を向いた。
 汗と涙とよだれで濡れた赤い美貌。潤んだ黒い瞳が恨めしそうに見つめてくる。
「ッン!? んぅ……っ」
 不意打ちのキスには驚いたらしいが、クロロはいやがらなかった。
 少し前まで自分のペニスをしゃぶっていた口だが、ウボォーは気にしない。
 キスの間、尻壺はペニスを締めつけつつ、にぢにぢ蠕動し、絶妙な力加減で揉み込んでくる。
 唇を離してクロロの様子をうかがえば、困惑と陶酔を混ぜたような表情を浮かべていた。
 反応のよさに、口の中もいじられたんだろうなと、ウボォーは思ったが、口には出さなかった。





 身体能力と凌辱経験の両面から、とても柔軟なクロロの肉体は、体格差や無理な体位もカバーできてしまう。
 ウボォーは、ぐっと覆いかぶさり、可能な限り密着して、クロロを揺さぶっていた。
 腸腔の中で溢れかえる甘蜜と、ウボォーが放った精液が、剛直のピストンで掻き混ぜられて、結合部を白い泡で飾る。
 穴の具合から、クロロが、“後ろ”で、絶頂の波間をずっと泳いでいる状態なのは明白だった。小さい波も、大きい波も、高さを増していっているようだ。
 敏感なところをちょっと擦ってやるだけで、クロロは簡単にアクメを極めるようになっていた。
 だからウボォーは、何度も擦って、何度もクロロをアクメさせた。
 彼が仲間相手にも“たが”を外せるように。
 本能と理性の板挟みになった心が壊れないように。
 そんな想いと同時に存在するのは、明確な嗜虐の悦び。ウボォーは、クロロを絶頂まで押しあげる、その行為自体がたのしくなっていた。
 かつて、自分に、こんなについていける相手はいなかった。女を抱き殺してしまうこともあった彼だ。
 それ故に、自身の肉体で、恐怖ではなく、快楽でメスを屈服させるオスの悦びを、ウボォーは、はじめて実感していた。
 ウボォーはクロロの両腕を解放した。
 自由になった両腕は、ウボォーの太く逞しい首に、甘えるようにからみついた。
 そして……。
「――いぁっ、あっ、あんっ、あっああぁぁっ、きもちいぃ……チンポもオマンコもっ、ろっちもきもちいいぃ……ッ!」
 平常のクロロなら、決して言わないだろう淫語を吐き散らす。
 おそらくは、無意識だ。
 彼が、自分の肛門を女性器の俗名で呼ぶという、自ら男の尊厳を踏みにじるような言葉を使うのは、そう調教されてきたからだろう。調教過程で、いかに彼が“女”……否、“メス”として徹底的に扱われてきたか、うかがえてしまう。自尊心を砕くことで快楽が増すように、心の深層に被虐の悦びを強烈に植えつけられたことは瞭然。犯されて悦ぶことができるように。そして、己を犯し、支配し、最高の快楽を与えてくれる相手に、心から従うようにするために。
「……ッ、――なあ、クロロ、お前、いつも、あんな、いかにも、仕方ないからやってますってツラして、チンポしゃぶっててよ……本当は、オレのチンポが欲しくて、マンコ濡らしてたんだろ?」
 ウボォーは、クロロの男としてのプライドを傷つけるような言葉を使っていた。
 ――しかし、被虐に悦ぶメス奴隷を扱う場合は、この態度こそが正解。
 今のクロロは、慈しむだけでは満たされない。
 それを、理屈ではなく、オスの本能で理解したからこそ、ウボォーはクロロをいじめた。
「……っ、それ、は」
「言えよ!!」
 パァン! と大きな音が鳴るほど腰を強く打ちつけた。
「はひぃ……ッッ! ほ、ほんろは……ウボォーさんのデッカいチンポ、ずっとほひかったぁ……っ!」
 激しい突きこみがもたらす快感によって、戻りかけた理性も泥海へ沈んでいく。
 今のクロロの双眸には、凍えるほど鋭い知性の輝きなどない。
 淫熱でとろけた双眸には、目の前の男しか見えていない。
「ほし、がったら、んゃっ、だめらって、おもっれ、だからぁぁ……!」
「だから、他のチンポで済まそうって思ったわけか……けどよ、乱交はねェだろ乱交はっ! ま、普通の奴じゃ、お前を満足させられねェだろうな……」
 ウボォーが、奥をゴツゴツ突いてれば、クロロはぽろぽろと涙をこぼして、快楽に身をよじらせる。
「よろこべクロロ……! これからはっ、いつでもっ、オレがっ、ハメてやる!!」
 ウボォーはそう約束すると、クロロの敏感な場所を抉るように擦りあげた。
「はぁうっ! ひぐっ、ひっ、ぇう、うっ、うれひ、いぃぃ……!」
 その嗚咽混じりのよがりが本心であることを証明するように、勃起肉に絡みつく腸蜜の量は増す。
 尻壺をジュポジュポまぜ返すウボォーにも、限界が訪れていた。
「そろそろだぞ……っ、腹いっぱい、出してやるからな!」
「ぅんっ、うん……!」
 “出す”というワードに反応した欲深い尻壺が、いっそう締まり、うねり、蠢き、射精を促し、子種を貪欲にねだりだす。
「っとーに……ッ! このマンコはっ、ガキまで、デキちまいそう、だな!」
「は、はらんれもいいっ……ウボォーしゃんのっ、ころもならぁ、うむっ、うむ、からぁっ」
「おおっ!? うれしいこと言ってくれるじゃねェか! ……よぉうし、孕め! 孕めクロロ!!」
 男のよろこぶ言葉を“本心”からつむぐクロロの唇に、ウボォーは自分のそれを押しつけた。
「はふ、んんっ、んぅっ…………んはぁっ、はぁっ、はっ……ウボォーしゃん……んっ、んっ、ンンゥゥゥ……ッッ!!」
 甘えた声を洩らし、積極的に舌をからめてくるクロロの痙攣する尻壺の中へ、ウボォーは精液を注ぎ込んだ。
 激しく脈打つペニスから、ドプッ、ドプッ、ドプッと、勢いよく噴き出す熱粘汁が、飢える尻壺を満たしていく。
「うお、おおおぉ……出る、まだ、出るぞぉ……ッ!」
「はひっ、は、ひっ、ひぃあっあっ、ああぁ、あああああ……!」
 ウボォーにしがみついたまま、総身を痙攣させ、泣き喘ぎながら、クロロはすべてを受けとめる。
 アクメしすぎて弛緩しきった顔とは対照的に、尻壺はぎゅうぎゅう締めつけてくる。
 ふと、しがみつく腕の力が緩んだと思ったら、密着する腹部にショロショロと生あたたかい感触がかかる。鼻にとどくアンモニア臭。彼が気を失い、失禁したことをウボォーは知る。
「ハ、ハハハ……ションベン漏らしちまうくらい、よかったか。……くそ……オレも、最高だ……ッ!」
 ウボォーも身体をブルッとふるわせて、意識のないクロロの中へ、最後の一滴まで注ぎきった。
 充足感にしばらく浸っていた。
 クロロの寝顔は色っぽく、あどけなく、穏やかだ。
 ペニスを引き抜き、めくれて裏返った穴から腸蜜と子種の混合粘汁がドロドロ溢れ出てくる様を眺めて、
「…………マジで孕んだりしないよな?」
 ウボォーは少し不安になった。








「何したの」
 シャルは、約束の時間よりも少しばかり早くアジトへ戻ってきた巨躯を刺々しく見つめた。
 その背中には、クロロが負ぶさっている。
 気まずそうに、ウボォーは答えた。
「あ゛〜〜……、ほ、ほら、アレだよ、アレ!」
 シャルが、大きな目をさらに大きく見開いた。
「さ、最低だな……!!」
「おおぉっ!? おい! “硬”でスネを蹴るな! くすぐってェだろうが!!」
「こうしないとオレの脚が砕けるんだよ! てかノーダメかよ!」
「…………ウボォー、もうおろして欲しい。あと、シャルも、あまりウボォーを責めないでやってくれ……」
 掠れ声の団長を、おそらくは世界の終わりが訪れても見せないような悲愴な顔で見つめるシャル。
 そして、(団長のことが心配で)予定よりもずっと早くアジトへ戻ってきたマチとパクノダも、3人の状況からすべてを察したのだろう。
 無言のまま、“硬”でウボォーのスネを狙った。







2014/12/15
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