――数時間後。
「んはっぁ、ぅあ……ッ」
「グヒヒヒ、スゲーなあんた。フツーの女なら、今ごろぶっ壊れてるのによォ」
 クロロの背後から枷のついた両腕を引っ張り、肛門を犯す小太りの中年男が、唇を酷薄に歪めてそう言った。
 何時間にも及ぶ肛辱輪姦。そして数え切れぬ絶頂――普通の女性ならば、肉体か精神のどちらかが、あるいは両方壊れてしまってもおかしくない状況。
 しかし、クロロは、そのどちらもが強靭なばかりに、気を失うことさえできずに、結果、男たちの欲望のはけ口にされ続けていた。
 壊れない女――飢えた男たちにとっては、クロロは理想的な獲物と言っても過言ではなかった。
 彼女のオールバックは無惨に崩れて、こぼれ乱れた前髪が、扇情的な色香を放っている。珠肌や怜悧な美貌は汗と男たちの汚汁まみれ。髪も、肌も、肛門も、醜い男たちが吐き出した欲望で汚されていた。特に、胸と顔まわりはひどい有様である。男たちが一人ずつ順番に、仰向けのクロロへと跨がって、豊麗な乳房の間にペニスを挟んで扱き、射精したからだ。そのザーメンまみれの美巨乳を、両わきから、二人の男が片方ずつ揉みしだいている。
「このデカパイには世話になったからな〜。ホレ、礼だ」
 ギュムッ!
 つままれ、ねぶられ、擦られ、しゃぶられ、こねられ続けて腫れた乳首を、二人の男がぐいっと引っ張って親指と人差し指の腹で強く捩り上げた。
「くぁっ! ぁ……くッ、ンクゥッ」
 敏感な場所を乱暴に扱われているのに。被虐に目覚めた身体は悦び跳ねて、肛門がキュウゥッとペニスを締め付ける。
「オ! オオ〜ッ! またケツマ○コがぎゅうぎゅう締まったぞォ!」
 犯され続けるクロロの股下には、愛液や潮、本気汁で、濁った汁溜まりができていた。
 四肢に力が入らない。打たれた薬が切れていないのか、何度も絶頂したせいなのか――それさえ、もうわからない。たしかなことは、男たちに支えられていなければ、その場に突っ伏してしまうということだ。
 絶頂を繰り返す美体は、甘酸っぱい性臭を撒き散らしながら悶え続ける。
(こいつらの性欲は、底無しか……ッ)
 身体や肛門に注がれた媚薬の効果はとうに切れている。あの薬は、即効性で強力だが、持続時間は10分と短い――と、調教師が言っていた。つまり、クロロは、残りの数時間に及ぶ凌辱を素の状態で、感じていたのだ。
 犯されて感じていた。
 一度発情してしまうと、もう自分の力ではどうにもならなくなってしまう。
 他人に、男に、抱いてもらわなければ、いつまでもいつまでも、淫熱を抱えてさ迷う。
 クロロは自覚した。まざまざと見せ付けられた。
 肉悦に対して、絶望的なまでに無力な自分自身を。
 鼻の下を伸ばした中年男が、クロロの背後から尻穴を犯し続けている。ブヨブヨにたるんだ腹が、形のよい尻たぶに何度もぶちあたる。あの銀髪の調教師のような屈強な男に力で捩伏せられて犯されることも、この連中のような弱くて醜い男たちに犯されることも――どちらもたまらなく気持ちいい。
 それでも、“本物”の醜態をさらすことへの抵抗は、残っていた。それが、耐えようとする精神の支えである一方で、“自分”を苛んでいる。調教されて、新たに生まれつつある、“男なしでは生きられない女”としてのクロロ=ルシルフルを。
「アンタ、盗賊よりも娼婦のが似合ってんじゃねーのか? こんなエロいカラダ、男にハメてもらうためにあるようなモンだろ。アンタなら毎日買ってやってもいいぜ!」
 調教師に犯され続けていたからわかる。この場にいる男たちの腰遣いは、技巧などない、自分勝手な欲望をぶつけてくるだけの荒々しいものばかりだった。
 それでも、深い快感が、快楽漬けの肉体の芯を抉り続けた。
 感じていた。
 どんな男の肉棒もよろこんで受け入れる。
 どんな乱暴に扱われても快楽を感じる。
 なんて、なんて情けない身体だろう。
「くぅッ、ぃ、ンんっ……ィ、うう……ッッ!」
「グヒヒヒヒッ! またイキやがったな! 俺も出すぞォッ」
 男が肛筒へ精を吐き出す。
 肉棒を引き抜かれ、腕を離され、支えを失い。クロロは額を地面に擦りつける羽目になった。尻だけを高く突き出した屈辱的かつ卑猥極まりないポーズと、尻穴からゴポッと白濁汁が溢れ出ている光景は、男たちの歪んだ征服欲と加虐衝動を煽り立てる。
「けしからんケツだなァ。まだ欲しいのかァ? へへ、いいぜ、くれてやる!」
 一番体格の良い男が、勝手なことをほざいて、目の前の桃尻を鷲掴み、白濁まみれの尻穴へ、ペニスを捩込んだ。
「ふっ……ぅうんッ」
「オラ、コッチも可愛がってやるよ!」
 男が、貞操帯の上から、ささくれ立った太い指で勃起クリトリスや縦スジを弄り始めた。
「っ! ぃいっ……ふぅっ……んィ、くぁぁ……!」
「ぅおぉっとと、気持ちいいくせに逃げんなよォ。ゲヘヘヘヘ」
 跳ねる尻を逃がさぬように、不潔に伸びた爪をもっちりした尻肌へと食いこませる。
「ホントはコッチにも、チンポが欲しいんだろ〜?」
 縦スジを不潔な爪で何度も引っ掻き……。
「! 〜〜ッッ」
 ジュグッブゥウ!
 クロロは目を見開いた。
 秘肉のくぼみを強く指圧されて、黒革から、新たな白濁の本気汁が溢れ出した。
「〜〜ッ……ひ、あっ、あぅうっ、ううぅ……ッ!」
 甘ったるい喘ぎが、唇から洩れて。
「ほれほれ〜、ゲヘヘヘヘ」
 ニュヂッ、ニュジュッ、グジュブッ!
 くぼみに食いこんだ芋虫の指が、肉襞を揉みこむ。
 後ろから、絶えず子宮を亀頭で殴りつけられて。
 男は、何度か射精して余裕ができたことと、何度もアヌスを犯したことによって、クロロがどこで一番感じているかを、学習してしまっていた。
「ふは、ぁ……ッ! ぁ、うっ……ンンンンッ」
 また、絶頂。
 下肢の震えが止まらない。
 そのとき……。
 ――ジョ……ジョボッ、ジョロロロロ〜〜ッ。
「! ウゲェッ! このアマ、ションベンもらしやがったぜ!!」
「マジか!?」
「うわっ、マジでもらしてやがる!!」
 男たちの罵声の中、膀胱が空になるまで放尿は続いた。びちゃびちゃびちゃびちゃ。股下に黄色い水溜まりができあがった。うっすら湯気がのぼる。
「さっきからションベンみてえにマン汁もらしっぱなしだったが、ついに本物のションベンまでもらしちまったか。ほんっとに、股のユルい女だぜ!」
「ガハハハッ! こんなおもらし女が、盗賊の頭なんて笑えるなァ!!」
「きったねェなァ! うお〜、くせ〜、くせ〜ッ!」
 調教師は決してけなさなかった絶頂失禁。それを、嘲笑され、罵られ。これが、普通なのだ。
 しかし、男たちは、失禁をけなすくせに、ひどく昴奮している。調教師と態度こそ違えど、彼らもまた、失禁をよろこんでいるのだ。
「ゲヘヘ、それ、じゃあ、おもらし女お待ちかねの、チンポ汁だァ、ぜ!!」
 男が、腹を尻たぶに押しつけ、尻穴にペニスを根元まで捩込んで……。
 ――グブゥ! ビュブブブブ〜〜ッ!
「ィッ! ふぅ……い、ゥウッ、はぁッ、く、ぁあぁあぁぁ……ッ!」
 何度目かもわからない腸内射精を受けとめて。クロロは身体を弓なりにのけ反らせた。
 この瞬間には、屈辱感も惨めさも消し飛び、ただ“嬉しさ”だけを感じる。この、どうしようもない身体に満足してくれた。そして、“ごほうび”をくれた。熱い精液(ごほうび)をビュルビュルと肛門に注がれる時間が、たまらなく幸福な瞬間だった。
 後ろの穴でこんなに気持ちがいいのだ。“前の穴”にペニスを挿れられて、射精されたら、自分はどうなってしまうんだろう――この頃、クロロはそんなことを考えるようになっていた。
『ホントはコッチにも、チンポが欲しいんだろ〜?』
 貞操帯越しに処女穴をほじくりながら醜男が言い放った台詞は、あながち、間違ってはいない。


「ふぃ〜〜……すっきりしたァ」
 満足した男が、萎えたペニスを引き抜いた。
「はぁ……はぁ……」
 解放されたクロロは、身体を横たわらせた。絶頂の余韻が抜けきれていない美体は、ピクッ、ピクッと、小さく痙攣している。ヴァギナの分までもてあそばれたアヌスからは、男たちが吐き出した精液がドロドロ溢れ出てくる。
「あ〜あ〜もったいねえ! せっかく俺たちが出してやったチンポ汁までもらしてやがるぜ」
「おもらし女なんだから仕方ねえだろ。ぐひひっ」
 貧民たちが白濁まみれのクロロを取り囲む。勝ち誇った顔で、見下ろしている……。


「――ずいぶん、楽しんだようだな」
 突然、背後から聞こえてきた声。その低い響きに、貧民たちは竦み上がった。
 声の主は調教師だった。
 彼は、クロロの有様を見下ろした。
「……」
 調教師はクロロから外した視線を、今度は男たちへと向けた。その眼光の鋭さは、彼らに、再び畏怖と緊張を呼び戻させるのに充分だった。
「お前たち、ご苦労だった」
 調教師は金と酒瓶の詰まった袋を渡した。男たちは目を丸くした。
「い、いただいてもいいんですかい?」
「お前たちには世話になったからな」
「へ……へへ、へへへへ……こんないい女とヤらせてもらったうえに、金や酒までもらっちまって、なんだか申しわけねえなァ……」
「酒の飲めない者はいないか」
「ここに集まった連中に、酒の嫌いなヤツなんて一人もいやしません」
「そうか、安心した。お前たちはもう帰っていい」
「へ、へい……!」
 この言葉に誰よりも安堵したのは、貧民たちだった。銀髪の偉丈夫は、女や金や酒を与えてくれたが、やはり、恐ろしかった。正体がわからないから、というよりは、纏う雰囲気、存在そのものが、恐ろしかった。たとえここにいる全員が束になってかかっても、到底敵わないだろうことを、彼らは偉丈夫と出あった瞬間に、本能的に理解していたのだ。
 男たちはねぐらへと帰っていった。


 調教師はクロロを抱き上げた。彼は、その上等なスーツが汚れても、気にしていない様子だった。
「ぁっ……う……くぅぅぅっ」
 彼の腕の中で、クロロの身体がビクビクと震えた。
「今、イッたか」
「……ああ」
「素直だな」
「あんた相手に自分の身体のことを誤魔化せるわけないだろ。……ところで、さっき連中に渡したあの酒……毒が入ってるんだろ?」
「ああ」
「正直だな」
 甘い息を吐きながら、クロロは言う。
 あれだけの凌辱を受けても、クロロは肉体も心も壊れなかった。
 しかし、調教師も、クロロを壊すことが目的ではない。
 この肛辱輪姦の目的は、調教の成果を試すことだった。今のクロロが、どれだけの性交に耐えられるか――そして、それは証明された。クロロの肉体は、男が満足するまで、悶え、よがり、それでいて壊れない、理想の牝奴隷として仕上がっていた。







2013/5/1
2013/6/24 加筆
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