背後の元凶
シルバ×クロロ









 突然、なんの前触れもなく、意識が遠退いた。
 一瞬の出来事だった。
「……――!?」
 覚醒後の、シルバ=ゾルディックの衝撃といったらなかったろう。
 目の前には真っ白なシーツ。視界にかかる前髪の色は、黒。
 ――オレの腕は、こんなに細かったか……?
 ――いや、わかっている。
 シルバは信じたくなかっただけだ。自身の置かれた状況も、あらぬ場所にかかる異常な圧迫感も。
「どういうことか、説明しろ」
 シルバは後ろを振り向くと、背後の――おそらく元凶であろう――男を鋭く睨みつけた。
 銀色の豊かな髪、屈強な肢体、彫りの深い精悍な貌――シルバの肉体と顔をした男が、微笑を浮かべてこちらを見ている。
「そんなに怒るなよ。いやなに、面白いお宝が手に入ってさ。こうやって、二人の魂を入れ替えることができるんだ。たまには、こういうのも面白いだろ?」
 ふざけるな――と、文句を言おうと口を開いたシルバだが、すぐに唇をきつく結んだ。
 クロロが腰を前後に揺すりだしたのだ。
 シルバにとっては、内臓を突き上げられる圧迫感も、引き抜かれる瞬間の開放感も、初めての体験だった。
「……ッ……オイ、自分の、身体だろう……もっと、手加減、したらどうだ」
 それほどに容赦ない律動だった。このまま内臓を引き出されてしまいそうな恐怖心さえ、僅かだが芽生えたほどに。
「大丈夫。そんなやわな身体じゃない。というか、あんただっていつもこんな感じなんだけど。これをいい機会に、少しはオレの苦労もわかってくれると嬉しいな」




2012/12/25
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