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イルミ×ヒソカ 女体化注意 「関心の矛先」の続編









 シャワーを浴びて部屋へ戻ってくると、イルミは電動マッサージ機をいまだに手にしたままだった。電源スイッチを押したり切ったりしては、細かく振動する先端部を眺めている。
「よっぽど気に入ったみたいだねェ」
「あのさー、コレ、男に使ったらどうなるのかな」
 あ、まずい、始まった――ヒソカは笑顔を崩さず内心で呟いた。会話が噛み合わなくなるのは、マイペースかつ理不尽なイルミワールドのわかりやすい前兆(サイン)だ。
「ヒソカだって興味あるだろ?」
「そうだなぁ……あると言えばあるかな」
 ボクはどっちかって言うと「される」より「する」方が好きなんだけど……という本音はわざと黙っておいて、イルミの話に合わせるヒソカ。
「やっぱり。じゃあさ、せっかくだし、試させてよ」
「それは構わないけど、イルミ、おなか空いてない?」
「……空いてる。空いてるけど、すぐ終わると思うし、ごはんはそれからでも遅くないだろ」
「そうだね。ただ……この近くの美味しいお店知ってるんだけど、そこさ、人気店だから今の内に行かないとかなり混むんだよ。それに、オープン10周年記念とやらで、今しか食べられない期間限定メニューをやっててさ。たしか、今日が最終日だったかな」
「へー……そうなんだ。…………わかった。行こう」
 イルミはようやくマッサージ機を放り投げた。
 イルミは、こちらが下手に反論すると独特の理屈で捩じ伏せてこようとする。だから、まずは本人の意見を尊重し受け入れたように見せておいてから、さりげなく別の好条件を提案するに限る。オマケに、自分ほどじゃないが彼女にも気まぐれなところがあるので、夕食後には「男に電動マッサージ機を使う」という興味は失せているかもしれない――ヒソカは外出の支度をしながら考えていた。




2012/12/21
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