読書の邪魔
シャルナーク×クロロ









「何してる」
 クロロは、自分の土踏まずの間に挟まれているシャルナークの性器と、彼の顔を交互に見ながら問う。
「何って……足コキ?」
 シャルナークは無邪気な顔でこたえた。小首をかしげる仕種も子犬のような愛嬌がある。彼を知らない人間は、まさかこの様子で彼が怒っているとは気づかないだろう。もちろん、幼なじみであるクロロはちゃんと気づいていた。
 クロロはソファーに横になりながら本を読んでいた。半月前、とある大物収集家の邸宅から貴重書を大量に盗み出して以来、ずっと読み耽っている。それこそ、生理的な行為をする以外の時間中は、ずっとだ。未読の書物もまだ残っている。
「これなら読書の邪魔にならないでしょ?」
 膂力ならクロロの方が上の筈。ところが、両足首を掴むシャルナークの手はびくともしない。どうあっても退かないつもりなのだろう。
(いや、退かないんじゃない。退けないのか)
 素足に触れる性器の熱さ、脈動が、それを伝えていた。
「……もういい、勝手にしろ」
 クロロは読書を続行した。





「――クロロ。勃ってる」
「……」
「その本、さっきから1ページもめくってないし、もしかして……」
 と、次の言葉を言いかけたとき、シャルナークは目を見張った。
 クロロが、本を右手に持ったまま、空いている左手で、ズボンのジッパーをおろしたのだ。そして、本を開いた状態で口許を隠しながら、ズボンから取り出した性器を慰めはじめた。
「お前の、せいだからな」
 くぐもった声で、クロロは言った。熱を孕んだ大きな双眸に、見上げられ、
(が、我慢しろー、オレ……ッ)
 シャルナークはギリギリのところで怺えた。
 ここで出してしまったら格好がつかない。
 それに、
(もっと見ていたい)




2012/12/19
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