後ろ手に縛られ床に転がる五人の男たち。青年と四人のトモダチ。
 トモダチBに馬乗りになって、ヒソカは腰を艶めかしく上下左右に振っていた。上半身はブラジャーのみ、下着を脱いだ短いスカートの下で、アナルに男のペニスを深々と銜えこんで。
「もっ……もう無理だってえ!」
 男は掠れた涙声で叫ぶ。その顔は、汗、よだれや鼻水、自身が放った精液にまみれてグシャグシャに汚れていた。
「だらしないなァ、まだ三回しか出してないだろ? もっと、ヤル気、出しなよ。そもそもキミたちさ、ボクらのこと……コレで、いじめるつもりだったんだろう?」
 ヒソカは腰をグラインドさせて、男を責めたてた。豊かな双つの乳たぶが、律動にあわせて上下に弾んだ。
 真っ先にヒソカの毒牙にかかったAは、搾り尽くされて、虚ろな表情をしている。
「キミはイルミ狙いだったみたいだけど、こんなんじゃ、イルミだって満足させられないよ?」
「うう……っ」
 男のカラダが痙攣する。四度目の射精だ。
「つまんないなァ。キミらふたりとも、大きさはソコソコだけど、体力なさ過ぎ」
 ダメ出しした挙げ句、ヒソカはため息をつき、用済みの肉棒をアナルから引きぬいた。精液のたまったコンドームをなれた手つきで外すと、敗者の顔面に垂らした。
「さて、キミらはどうかな?」
 ヒソカは残る二人に目線をやった。トモダチCとDが肩を震わせる。
 しかし、ふたりとも鼻息は荒く、目の前で繰り広げられた痴態にあてられたらしい醜い股間が、なんとも苦しげにズボンを押し上げていた。
「毎回思うけど、男ってよくあんな状況でも勃てるよねー」
「オスの哀しい性なんだろうな」
 イルミとクロロが眼前の喜劇を肴に閑談している。最も、クロロは持参した本を読んでいるので、淫らな惨事は見てさえいないのだが。
 一方、トモダチAがヒソカの餌食になっている間、イルミはクロロの膝をまくらにして眠っていた。彼女が目を覚ましたのは、ヒソカ対トモダチBの第2ラウンドの真っ最中である。
「……」
 暫しの沈黙の後、イルミがクロロの膝からむくりと起きあがった。彼女は、ヒソカの方へと歩み寄っていった。
「や、イルミ」
 トモダチCに乗り換えたヒソカが、悪戯っ子の微笑みを浮かべて出迎える。淫らで巧みな腰の動きはやめずに。
「ムラムラしてきちゃった?」
「ちょっとだけ」
 平淡な声でイルミは言う。
「くく……じゃあ、このひとあげるから、好きに遊びなよ」
 ヒソカはトモダチDを指さした。
 イルミは彼の膨らんだ股間を容赦なく踏みつけた。
「イ゛ッ……ぉ…お、俺らが悪かっ、たから、もう許してくれぇ……!」
 激痛に顔をゆがめるトモダチDが、情けないほど痛切な声で、黒髪の美人に哀願する。
「……」
 彼女は無言のまま、そばに落ちていたヒソカの下着を拾いあげる。そして、まるめたソレを、解放を乞う男の口へと捩こんだ。
「あ。お気に入りの下着だったのに」
 下着の持ち主が唇を尖らせたが、
「似たようなの何枚も持ってるだろ」
 と、イルミは再び男の股間を踏みだした。無表情のまま、じっくりと体重をかけて。急所を押し潰される痛みに、逃げることのできない男が悶えて呻く。
「このバイブうるさい。壊しちゃおうかな」
 恐ろしいことを呟くイルミへ、ヒソカが口許に薄笑いを浮かべながら忠告する。
「やめなよ、もったいない。彼が一番大きいんだから」
「大きければいいってワケじゃないと思うけど」
「言うね。処女のくせに」
「後ろも前も一緒だろ」
「そう言うなら、前もヤラせてくれよ」
「キミに前まであげちゃったら、お嫁に行けなくなるだろ」
 イルミは、男の下腹部へ跨がった。股肉と尻たぶのあいだに、痛みですっかり萎えてしまった牡を挟む。男女の性器が布越しに密着している。
 それからイルミは、男に次のように命じた。
「気持ちよくなりたいんだったら、もう変な声出すなよ。もし、ちょっとでも声出したら、また足で、今度は思いっきり踏み潰すから」
 イルミは細い腰を前後にくねり動かして、股下の男を扱きはじめた。
 健気にも男は、歓喜の呻きを必死に堪えていた。
 牡の肉体とは正直にできている。双臀の谷間に挟まれ摩擦を受けつづける肉棒は、踏みつけられた痛みも忘れ、すぐに硬く張りつめた。薄手のストッキングと下着の感触。ハリのある、柔らかい尻肉の割れ目で扱かれて。
 ヒソカがイルミに話しかける。
「イルミ、気持ち悦いかい?」
「んー……ちょっと濡れてきたから、それなりなのかなー」
 イルミは小首をかしげて、他人事のように言う。
 素股を受ける肉棒は、はちきれんばかりになっていた。射精は間近だった。
 ところが、突然、
「うえっ。やっぱりダメ」
 と、イルミは腰をあげて、男からさっさと離れてしまったではないか。
 トモダチDはたまったものではない。ぬくもりとはけ口を同時に失い、血走った目で彼女の姿を追いかける。
 肝心のイルミは男に見向きもせず、
「ヒソカ」
 と、彼女のとなりに寄りそった。
 イルミの意図を察して、ヒソカは双眸を細めた。
「くくくく……」
 ヒソカは嬌笑を浮かべる。
 イルミは自ら貌を近づけてゆき、ヒソカの頬に両手をそえると、形の良い唇を重ねた。キスは次第に深くなる。大袈裟なリップ音。男共に見せつけるようなディープキスだ。
 ヒソカは右手をイルミの股間へと伸ばした。黒いストッキングの上から、指先で、蒸れた柔肉の裂け目をなぞりいじくり、奥のくぼみに食いこませこねまわした。
 また、指の動きに連動させるように、空いた左手で、きっちりと着こまれた制服の上から、処女の乳房を揉みしだいた。
「ふぅ……ッ」
 と、キスの合間に甘く悩ましいくぐもった吐息が、イルミの唇から洩れて。ストッキングの股間部分の布地は、男の先走りと、内側から滲みでた彼女自身の愛液で濡れて黒いシミをつくっていたが、ヒソカの指先によって擦りたてられ、押しあげられるたび、淫らなシミは拡がっていった。
 濃厚で背徳的なキスを終えると、イルミが言った。
「これじゃ足りない」
 ヒソカはふたり分の唾液で濡れた上唇を紅い舌先で舐めとり、
「ボクもイルミとシたくなってきちゃった」
 と、トモダチCの腹の上からおりた。
 苦しいほどの肛襞の締めつけに加えて、美女同士のキスに昂ぶって、Cは果てていた。彼は幸運である。
「あ、待って」
 汚れたストッキングごと下着を引き下ろそうとするヒソカの腕を、イルミが制止する。
「ココじゃ嫌だ」
「寝室行く?」
「ホテルかヒソカの家がいい」
「ここからだと、ホテルの方が近いね」
「じゃあ、そっちで」
「うん。……というわけだから、クロロ、ボクら先に帰るよ」
「そうか」
 クロロはあっさりと頷き、これまたあっさりと帰り支度をはじめるヒソカとイルミ。
 ヒソカが脱ぎすてた自身の衣服を拾っている間に、イルミはさっさと玄関へと向かっていた。
「もう行くけど……」
 身支度が済んだヒソカは、読書中のクロロを見据えた。剥きだしの豊満な胸上は、アナルセックスの余韻で火照り、汗でしっとりと濡れ輝いている。男たちを貪り尽くしたこの美女は、身体中から、発情の匂いを撒き散らしているようだった。
「ボクはクロロさえよければ3Pでも構わないよ。むしろ大歓迎なんだけど」
 男ならば泣いてよろこぶ誘い。
 しかし、相変わらずクロロからは、
「イルミが待ってるだろう。早く行ってやれ」
 素っ気ない返事しか帰ってこない。
 ヒソカはクロロの背後にまわった。彼女の両肩に手をのせ、耳に顔を近づけ、息を吹きかけながら、
「こう断られてばかりだと、なおさらあなたの処女が奪いたくなる。前も後ろも……唇も」
 熱烈な求愛を囁いた。
「ヒソカー」
 玄関からイルミの声。
 ヒソカはイルミのもとへと向かった。
 ドアが閉じられる音。
 遠ざかる気配。
 ふたりは帰った。
 クロロは本を閉じて、ソファーから悠然と腰をあげた。
「さて……」
 彼女は青年たちのもとへと歩み寄る。
「あと一時間もすれば、ブローカーが迎えに来る。お前たちは、かつて自分たちが少女たちにしてきたことを、金持ちの親父共にされるんだ」
 クロロは憐れな男たちを見下ろしながら淡々と告げた。
 その場で、彼女の言葉を嘘だと疑う者はひとりもいなかった。先の異様な淫劇が、彼女の言葉は必ず未来のものとなる――今度は自分たちが、ヒトとしての尊厳を、一方的に踏みにじられる立場になる――ことを、軽薄な彼らにも悟らせたのだ。
 青年は絶望感で胸が押し潰されそうだった。トモダチも例外ではない。皆、青ざめている。
「ところで、実はアイツらのせいでオレも、少し……おかしな気分になってな」
 クロロは自嘲気味に肩を竦めて微笑んだ。
 彼女は青年の目の前でスカートを高々とめくり上げた。
 青年は戦慄した。
 クロロが「留め具」を外すと、彼女が装着するペニスバンドの本来の姿があらわになったのだ。無機質な黒い砲身は、五人の捕虜たちのそれよりも太く、長い。白く瑞々しい大腿との禍々しいコントラスト。細い指先が、黒い亀頭を愛おしげに撫でていた。







2012/06/23 ピクシブ掲載
2012/11/08 加筆
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