我慢の限界
モブ×若イルミ









 白い首筋を、ケダモノの舌がゆっくりと這う。
(うえー、気持ち悪い)
 イルミは不快感を我慢して、合図を待っていた。暗殺開始の合図を。
 それまでは、この変態オヤジを殺せない。相手をしていなければならない。
(親父、はやくして)
 今回の仕事の性質上、どうしても“時間稼ぎ役”が必要だった。白羽の矢が立ったのは、イルミとキルア。ミルキは、ターゲットの好みから外れているという理由で難を逃れた。カルトでは幼過ぎる。
 シルバはまず、長男に相談した。イルミのこたえは一つだった。
 キルアに任せるわけにはいかなかった。暗殺技術の問題ではなく、やらせたくないのだ。かわいい弟が、こんな奴の慰み者にされるのを見たら、それこそ、たえられそうにないから。
(ほんと、コイツ、ムカツく)
 ぶくぶくに肥えた男の、芋虫みたいな指が、股をまさぐりだした。ナメクジみたいな肉厚の舌に耳を舐めまわされる。「髪、綺麗だね」とか、ほめられてもまったく嬉しくない。むしろ不愉快だ。触るな。においを嗅ぐな。顔を近づけるな。
(それにしても……)
 たるみきった肉、脂っぽい顔――この見てくれで、自分の父親と同い年だなんて、イルミには信じられなかった。




2012/12/14
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