ONE PIECE [LONG] | ナノ
業務的日常

「クザァーン」
「.........何?ボルサリーノ」
「ちょーっとベレッタちゃんをわっしに貸してくれないか〜い?」

と、ピカピカでチカチカして目が痛くなるスーツをお召しのボルサリーノさんが珍しいお願いにやって来た。でも、何となく私の手を借りたい理由は分かった。経理部署から経費の計上を迫られてるからだ。クザンさんの分はつい先日提出したけど、他の方は未提出だと聞いたから...多分、その件。
一応、此処に来る前はそれなりに事務仕事をしてたし簿記とかも軽く齧ったことはあって、よく分からない領収書を見て話を聞いてそれが経費として可か不可か...なんていう簡単な帳簿くらい付けられる。要はこの帳簿で足りなかったお金が返金されるんだ。

「.........嫌だね」
「え?く、クザンさん?」
「自分のとこの補佐に頼みなよ。この子はウチの子」

え?私、犬猫扱いですか?
私としては此処でお世話になってる身なので頼まれたら手伝う義務はあると思うんですけど...で、ましてやクザンさんと対等なお方だから断るとか、私はフツーに無理です。

「冷たいねェ〜。じゃあ時間外にお願いしようかな〜?ベレッタちゃん、ご飯奢るよォ〜」

ご、ご飯っ、魅力的だけど食堂の予約が!

「それもダメに決まってるでしょ」
「.........余裕ないねェ〜」

にこにこするボルサリーノさんとギリギリしてるクザンさん。
確かに表情からするとクザンさんの方が余裕ない気はするけど、少なくとも経理部署から突かれて余裕がないのはボルサリーノさんの方、だと思う。だからわざわざ足を運んで来られたんだと思う。電伝虫ってテもあるのに。

「とにかく貸して〜」
「ダメ」
「何でダメなの?理由をハッキリ言いなさいよ〜」
「言わない。でも貸さない」

.........子供の喧嘩、ですか?

「そんなにずーっとベレッタちゃんを傍に置いときたいの?」
「は!?」
「男ってそういうイキモノなのよ。ね〜」

つまり本気で犬猫扱い!!飼い主以外に懐くなってこと!?
そうか...男ってそういう生き物なんだ。部下の貸し借りって...向こうではしょっちゅうだったけどなあ。連携って大事だって教わったし。こっちの世界では違うのかな...難しいなあ、って、何かクザンさんがパキパキし始めてるんですけど!!

「.........アイスタイムカプセル」
「ヒッ!」

なっ、物凄い冷気が横通った!!ボルサリーノさんは!?

「おォ...酷いことするねェ〜」
「これ以上、おれを怒らせないでくれる?」

あ...無事だ。ちょっと安堵したけど...クザンさんの顔が、怖い。
ピンクコートのヤバイ人と話してる時の顔つきと似てる。明らかに怒ってる顔だけど...何で?対するボルサリーノさんに変化はないけど。

「く、クザンさん!」
「.........何?」

色々疑問だらけだけどコレだけは言える。喧嘩はダメ。仲良くして欲しい。
確か、此処での階級で二人とサカズキさんは結構高い地位に就いてて同じ階級はその三人だけ。つまり、同じクラスに三人しかいないのに仲悪いとか絶対気まずくなる...って、そんなレベルじゃないくらい彼らは大人だけどね。でも、割れるのは絶対良くない。

「あ、あの、ボルサリーノさんの手伝い...一時間だけ行って来ます」
「.........」
「必ず一時間後には戻ります!だから、」

行って来てもいいですか?とビクビクしながら聞く。
クザンさんには一番お世話になってる身で本当は彼の言うようにしないといけないことくらい分かってる。けど、私にとっては仕事、しかもわざわざ私にってお願いされてる仕事だ。出来れば...ね、穏便にちゃちゃっと、さ。

「.........はァ...なら一時間だけ」
「い、いいですか?」
「あァ...そこまで言うなら」

ようやくいつもの表情にクザンさんが戻った。二度目の安堵だ。

「有難う御座います!あ、お礼にガープさんから頂いたお茶とお菓子、一緒に食べましょう!!」
「.........そだね。じゃ、行っておいで」
「はい!行って来ます!」

良かった。でも、ボルサリーノさんには「一時間で返せ」と睨んだけど。
いつものクザンさんに見送られて私はボルサリーノさんの後を追った。着いた先で待ってたのは予想通りの雑務だった。

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