#01
「サンジー!メシはまだか?メシメシメシー!」
「うっさいわねルフィ!ゆっくり新聞も読めないじゃない!」
「だってよーおれ、ハラ減ってんだよ」
いつも通りの海の上、いつも通りの船の甲板、ルフィのヤツが一際デカい声で叫ぶ。
ログに従がって航海する日々ってのは退屈なもんだと思っていたがこの一味は入った当初から問題ばかりで退屈した試しがねェ。この束の間の休息はある意味、問題が起きる前触れみてェなもんだと何となく思う。落ち着きなく航海する、それがこの一味らしい。
「.........あ、また手配書だわ。最近多いわね」
「ん?おれの懸賞金上がったかー?」
「楽しみにすんな!もう色々勘弁なのよホント!」
あー...うるせェ。マストを背に寝ようかと思ったが場所を変えるか。
立ち上がってルフィたちの横を通り抜けようとしていた時、ふとナミの握った手配書を見た。ジョニーとヨサクと共に過ごしてた頃はよく見てた紙だが、最近ではルフィと同じで自分の懸賞金がいくらになったかが気になるくらいで見ることもなくなっちまった。
「何よゾロ。アンタでも最近のルーキーがどんなか気になるの?」
「いいや。自分の首の金額しか興味ねェよ」
「アンタもか!」
どいつもこいつも、と無意味にキレるナミを余所に彼女から手配書だけを奪った。3000万、3200万と初頭手配に過ぎない金額の賞金首たち。見る限りでは...どうでも良さそうな連中ばかりだがどういう基準で金額を決めてんのか分かったもんじゃねェ。
と、最後の一枚をめくると不敵に笑う女の写真が目に映った。髪を束ね、右耳には見覚えのあるものが下がっている。
「.........ゾロ?」
約束なんか忘れて大人しく生きてりゃ良かったものの...馬鹿なヤツ。
まァ、口悪ィわ好戦的だわジャジャ馬だわでどう足掻いても大人しくしてるヤツじゃねェってのも短い付き合いだったが知っちゃいるけどよ...マジで賞金首になりやがった。本当に...あの馬鹿が、撮られてるのに気づいて好戦的な目しやがって。
「ったく...」
あれは数年前のある日、名前も知らねェ町での出来事。
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