ONE PIECE [LONG] | ナノ


酷く辛そうな顔で謝ったあの日から、ずっと罪悪感に苛まれていたってこと。
逆に言えば私がきちんと説明しなかったことや矛盾した行いをしていたことに問題があって隊長が悪いわけじゃない。お父様や別の隊長が了承したとはいえ私は海賊団の船医で、ボランティアでの人助けが目的ではない。他の船医さんたちが...痛みながらも目を伏せることで回避するやり方に賛同すれば良かっただけのこと、私のワガママが悪いんだ。隊長は何も気にすることも気に病むこともない。

「別に、無理とかしてねェ。ただおれ、お前が気になって、」
「.........今も、あの時悪いこと言ったなって思ってませんか?」
「まァ...思わなくもねェ、な」
「それを罪悪感と言います。隊長は...優しい人だから、罪悪感で気になるんです」

隊長は仲間思いで家族思いなのは有名で、でも大暴れするのも有名。だからといって相手に深手を負わすような戦闘はしてないことを知ってる。お父様と同じで、その意思をきちんと持った人だと知ってる。隊長もお父様も優しい人だから蹴散らしはしても深追いはしないしさせないし...
だから私はこの船に乗った。ある島、たまたま出会って誘って頂いた時に。

「悪いことしたなって気持ちがあるから気になるだけです」
「.........そう、か?」
「はい。だから...もう気にしなくていいですよ。私は大丈夫ですから」

皆と同じでいいんです。むしろ、そこから少し降格した位置でいいんです。私は影で仕事する身ですから。
今度は笑って諭せば曇った表情の隊長が口をへの字にして俯いた。まだ少し納得してない様子だけどそこは時間の問題だと思いながら「ね?」と言えば、上目遣いで隊長は私を見た。まるで...幼い子供みたい。この場合は...頭を撫でるのがいいのかな?とか思ってた時だった。


「待った!」


.........待ったコール?
ハッとして声のした方向を見れば、壁にもたれ掛かったマルコ隊長の姿。

「マルコ?」
「ベレッタ。いくら医者でも今の見解は間違いだねい」

顔を上げたエース隊長も驚いている。
というより、今の見解が間違いって...何を言い出すんだろう。当事者はこちらでマルコ隊長じゃない。でも...医師としては興味深い、かも。

「フツーに考えて」

普通に考えて?

「エースはベレッタのことが好きなんだよい」

.........何?

「単純に好きだから、傍に居たがってるだけなんだ」
「ちょっ、マルコ隊長、何か違う気が、」
「いーや、悪ィが間違いねェ。ベレッタ以外、皆そう思ってる」
「ま、間違ってますって!あ、え、エース隊長!耳を傾けちゃいけません!」

今の今まで不納得の顔しかしてなかったはずのエース隊長が何処かスッキリした顔でマルコ隊長を見てた。
これは所謂、マインドコントロールとも刷り込みとも言える術が発動してるに違いなかった。だって、私より上位の方で年齢的にも長ける人だから「ああ、この人の言うことは間違いない」的なことが起こっても仕方ない。

「まァ、不治の病ってヤツだ。だから気になってもしょーがねェよい」
「ま、待って下さい!その見解の方がっ、」

おかしい、と言う前に背後から伸びた手に私は捕らえられた。
肩に置かれた顎、それがエース隊長のものだと気付くのに数秒掛かった。

「自覚したかいエース」
「あー...だから抱き締めたくなんだなァ」

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