「ねえ...アンタ大丈夫?」
「.........」
「オイ!ナミさんに返事しろ!」
「.........聞こえてない。あ、ねえチョッパー、ちょっとコイツ診てやって。手配書眺めてボーッとしてるの」
「ホントだ、手配書見てニヤニヤし――...っ!?おいクソマリモ!てめェこの美女と、」
「うっせェぞクソコック」
ギャンギャン騒ぐクソコックに手配書をブン盗られたが...もう満足だ。
"双秘刀のベレッタ" 懸賞金:4200万ベリー、か。おれよか大層な名前付けてもらってんじゃねェか。確かにその名通りの刀で...まさかソレが一国の神器だってことは誰も知らねェんだろう。
「.........あれ?」
「.........あ、」
アイツも立派な海賊になった。けど、タッチの差、と言ってもいいだろう。
悪いがおれの方が先に賞金首になっちまった。しかも金額もおれの方が上...もし、あいつがそれを知ったならどう思うだろう。悔しがったか大笑いしたか、いや両方の可能性もあるだろう。あの時、大口叩いただけのことはあって悪名とはいえ有言実行でおれの前に再び現れた。手配書の中、不敵に笑う。約束は守ったぞと言わんばかりに。
「この人、アンタの元カノ?」
「.........はァ?」
「この子、ゾロとお揃いのピアスしてるぞ!」
何処ぞのクソコックじゃあるめェし、女と揃いのもんを付けて喜ぶようなおれじゃねェ。
このピアスには...意味があるんだ。
互いに名を馳せた時の再会を誓うものであり、果たし状の代わりのものであり、あの日の戦利品であり......あいつが強く生きるために無理やり押し付けた、だが紛れもなく交わした"約束"を意味するもの。
「ずっと昔に約束がてらに貰ったもんだ」
「約束?ゾロ、女の子と約束してんのかァ?」
「あァ...けど今となってはもう、その約束は果たせなくなった」
「へえ...約束に拘るアンタが珍しいこと言うわね」
「"海賊狩り"はやめたんでな。あいつも...分かってくれるだろう」
「これから先の便りになるだろ?あたしが生きてるって。物凄い価値が付いた日には...一戦交えようぜ。
よし、こういうのはどうだ?戦利品...あたしが負けたら首、ロロノアが負けたらこの宝玉...って、大丈夫。渡しても文句はないらしい。
受け取ってくれ、今回の戦利品で"約束"だ。言っとくが、会えた日には全力で取りに行くぞ」
再び会えたならば...その時は全力で取りに来い。それまでは大事に預っててやるから。
ロンリー・クルセイダー
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