ONE PIECE [SMS] | ナノ

同じ穴のムジナ (1/1)



クザンは回された仕事を眺めながら溜め息を吐いた。
大将のくせに采配をとるのを得意としない彼。この仕事もまた「うまくやれるヤツが居るだろうに」と考えた。例えば、同じ大将で言うならばボルサリーノの方が年の甲で得意だろう。そういうヤツに任せる仕事じゃないだろうか、などと思った。

クザンは日頃から"ダラケきった正義"を掲げ、仕事という仕事は適度に適当に行っていた。勿論、手を抜いているわけではないが、やる気は誰がどう見ても見当たらない。大将ともなれば自らが動く仕事は少なく、采配をとるのを得意としない彼が部下に指示する時といえば「まァ、適当に頼む」「責任はおれがとる。後は任せた」くらいのもの。よって部下は自分たちで勝手に考えて動いて来た。

しかし、今回の仕事はそれで済ませられるような仕事ではなかった。

手持ちの資料に書かれた内容は...単純に言えば同胞の秘密調査。外に出て活動している仲間の現状を現地に赴いて秘密裏に調査して来いというもの。しかし、その同胞もまた諜報活動中の密偵で警戒心は強く、そして実力もまた随一...下手な者など差し向けようものならば仕事は失敗し、最悪の場合は調査に向かった者は無事に帰還することが出来ないだろう。ならば自分が...と思いはするものの、クザンが赴けば一発で彼らは気付くだろう。それだけ自分の顔と役職が知れ渡っている。それに彼らと面識がないわけでもない。

「.........厄介だなァ」

誰も居ない部屋でぽつり呟いて頭を掻く。
調査対象者が"彼ら"でなければ自分の下に就く部下の誰でも良かったのだが、とクザンは思う。兎にも角にも相手が悪すぎる。

(いっそ、別のとこに流しちまおうか)

そう考えた時だった。
響くノック音と共に入って来た人物。若いながらも自分の真下近くまで地位を上げて来た女少将の姿。

「先日言われていた報告書をまとめました。お目通し願います」
「.........」
「.........クザン?」
「いるじゃない。打ってつけの人材」
「はあ?」

自分の身の回りで"彼ら"に顔が割れていない"彼ら"に匹敵するだけの実力のある人物。忠誠心もあり、勤務態度も真面目、密偵に相応しい警戒心を持ち、密偵らしからぬ風貌を持つ彼女ならば...とクザンは考えた。ただ、彼女で不安があるとしたら真面目ゆえの逐一の報告くらいだろうか。


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