小話 #01
手招きするサッチが見えた。それはもう気持ち悪いツラで。
こういう時は大抵不愉快なネタを放り込まれて極めて不愉快になるので無視するに限る。
「ちょっ、そこ無視するの!?」
「.........何か用かよ」
が、決まって捕まる。今日は何が言いたくて俺を呼んだのか...正直知りたくも無いのに。
「いやいやーイゾウたちはまだセトには早ェって言うがおれは違うと思うんだよ!」
何がだよ、とは突っ込まない。
意味不明な事を言いながら背中をばんばん叩いて来るサッチに静かにキレそうになる俺。あまりにも背中を叩いて来るもんだから...スッと一人分避けて回避した。
「.........で?」
にやりと笑うサッチ。マジでキモい。
そんなサッチがスッと腹から出して来たのは...本。それはもう素敵な女性が素敵な服を着て素敵なポーズを取っているやつだ。心底がっかりするやつ。
「クールな君でもきっと役に立つ!」
「.........必要無い」
「!?そんな事は無い!!」
「いや、俺が言ってるんだから要らねえ」
こんな本もらっても本気で役に立たない。だったらその分の金寄越された方がまだいい。
「!!お、お前まさか......」
「男が好きな訳でも無い」
「だったら何故!」
「何故も何も......」
普通に興味無い、というより...こんなので鼻息荒くしてるサッチが気持ち悪い。
「俺困ってねえから」
「な、んだと...っ」
「お前と違ってこんなん無理だから」
その場でその本を突き返して、サッチを置いて歩き出した。
何かすっげえ叫んでるが振り返らない。むしろ、少し早足でその場を退散した。
.........って事があったよな、サッチ。
「お前...最低だな」
「ちょっ、待て、その頃は...っ」
「その日から事あるごとに俺のとこに持って来てたんだ」
「うわ、変態...最低最悪だな」
「今だから言うが、マジでキモかった」
あの日を振り返って
本編「誰も俺には触れさせない」
最後の方のサッチとのやり取りで小話。
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