現パロ妄想
金、金だ。ただただ金がいる。
この世の中、生きるのに必要なのは金だけ。信じられるのも金だけ。裏切らねえのも金だけ。金だけなのは間違いねえのに稼ぐためには経歴が必要。学力が必要。資格が必要。能力が必要...うんざりだ。
どんなに経歴を偽ろうともすぐにハネられる。俺の顔を見たところでクスッと笑ってハネやがる。そんなに顔に「何か」が出てんのかよ、と言いたいが面倒すぎて同じ顔で笑って出てってやる。
どうしても、金が必要なんだ。
今、すぐにでも...笑い転げるくらいの大金が。
「なァ、アンタ」
ぼんやり歩く夜道でスーツの何かが俺に声を掛けて来た。
随分と親しげに、随分と慣れ慣れしくも笑顔で。
「......何だ」
「うわ、愛想ねェなアンタ」
「.........」
「まァいいや。ウチのホストクラブで働かね?」
ホスト、クラブ?
「にこにこ笑って話聞いて媚び売って稼がね?」
「.........」
「あ、無理ならボーイも募集してんだけど」
にこにこ笑って...か。
言葉通り、にこにこ笑って俺に声を掛けた兄ちゃんは随分と若い。それなのに目でも悪いんだろうか。こんな小汚い俺をよくもスカウトするもんだと感心する。
「金、必要なんじゃねェ?」
「......まァ、な」
なるほど、逆に、か。
「ウチの店、ちょーっと向かいにデカいホストクラブ出来て困ってんだけど、それでも結構稼げるぞ。ボーイでも月ウン十万」
.........
「なァ、話だけでも聞いてかね?」
ソバカススーツがにこにこ勧誘する。
「......それで?」
「ん?」
少しだけ、金に揺らぐ。
「アンタへの謝礼は店からいくら出るんだ?」
「へ?」
「スカウト成功の謝礼。その3割もらえたら助かるんだが」
「げっ、」
今、たまちま金が欲しい。
「さ、3割...」
「ついでに経歴・学歴等を問われると何もないんだが、そこも問題ないのか?」
「そ、そういうのは別に...ただ、3割、は、」
どうしても、金が必要なんだ。
今、すぐにでも...笑い転げるくらいの大金が。
「3割。オーケーならすぐにでもボーイとして働かせて欲しい」
未だ困り顔のソバスカスーツに少しだけ微笑めば、渋々だが「分かった」と言って大きな溜め息を吐かれた。こんなに押しの弱いスカウトマンでいいんだろうか。
「言っとくけど、ウチ、厳しいからな」
「ああ。でなきゃこっちから願い下げだ」
俺はどうでもいい。どうなってもいい。
金だ。ただ金だ。金がないと困る。だから...
「よろしく、な」
今、すぐにでも...笑い転げるくらいの大金が、欲しい。
「LONELY CHILDREN」で妄想。
もしも、現パロにしたら...こんな風になりそう、とな。
孤児院育ちで里親から逃げ出した「LONELY CHILDREN」ヒロインのセト。孤児の双子と共に生きるために仕事を捜す...そんな現パロをふわっと妄想したので書いてみただけ。
テニス×OPで書いているので
向かいのデカいホストクラブは当然「クラブ氷帝」でしょう(笑)
2013/04/23 14:40
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