#11
物干し竿を拭いて、煎餅布団を干せば…更に(男性の)オタカラが発掘された。
このいかがわしい本たちもザックリ捨ててやろうと考え、ゴミ袋(大)のカーテンで隠すように詰め込んだ。
それでは間に合わなかったので自室から持ち込んだ色付き袋に入れてゴミ袋に突っ込んでやった。異論は認めない。
現時点でゴミ袋が五つがパンパンになった。
煎餅布団がなくなり、ゴミ袋(大)たちは一旦ベランダに追いやったので色々と余裕が出て来た。
因みに…未だ家電は発見されていない。掃除道具も当然だけど見つかっていない。
「.........はぁ」
本日何度目とも分からない溜め息が出た。
一応だけど玄関→廊下→部屋→ベランダと道は出来た。
今から撤去に掛かるのは洗濯物である。もう面倒なので一気にランドリーにぶち込みたい。でも、掻き集めるとスーツが紛れている事に気付いた。
ワイシャツとスーツはクリーニングに出すべきだろう。多分、仕事着なんだろうから。
そんな事を考えながら延々と分別していく。現在、大活躍中のゴミ袋(大)に。
「スーツ、ワイシャツ、靴下、下着、下着、靴下...」
い っ そ こ の ま ま 捨 て た ら 楽 に な る の に ...
いやいや待て。そうもいかない。
着替えは必要だと思う。てか、今、この状況で着替えは存在しているのだろうか。
いやいや今はそんな事は考えずにぶち込みたい。とにかくぶち込んでスッキリさせたい。
見える範囲での分別を終えてみれば、ゴミ袋(大)2つ分の洗濯物が出来た。
これらを抱えてクリーニングやらランドリーやらに行くのかい?私が?私物でもないのに?
サンタばりの袋を携えてご近所を闊歩するとか...正直、やりたくない。普通に恥ずかしい。
でも...私は悪魔と契約書交わしてしまった。逃げる事も出来ない。
2つのゴミ袋(大)を眺めながら考える。
ランドリーからのクリーニングで、その後にカーテン購入がベストだろうか。
あ、ついでに某ウェットシートも切れたしゴミ袋(大)も追加したい。
私用の掃除用品(買い溜め)がたった数時間であっさり無くなるとか思いもしなかったのだ。
凄いよ汚部屋は。
しかも、未だゴミを分別しているだけの段階で、メインとなる床掃除などはしていないという。それなのにシート切れってどういう事よ。塵も積もれば山となるってそういう物理的意味じゃなかったよね?
と、脳内でイライラというかモヤモヤを展開させつつもスッと立ち上がり汚部屋を出た。
効率的に仕事をこなすためには財布と携帯電話と筆記用具が必要だ。
実際に口から零れているかもしれない計画を脳内に巡らせながら私は一度部屋に戻り、慣れた自室で今後の計画を立て始めた。
画期的、とは言わないが、これからの計画はこうだ。
@近場のコインランドリーに洗濯物を放り込んで回す。要時間確認。
Aその隣に隣接するクリーニング店へ行き、スーツ等を出す。要引き取り時間確認。
B昼食休憩の時間を取りたいので近場で軽食を採る。ランドリー時間と連動。
Cコインランドリーに戻り、乾燥機にブチ込む。要時間確認。
D乾燥待ちの間にカーテンを購入する。尚、サイズは自室と同じなので確認不要。
うん、割とイイ感じかもしれない。
もしも洗濯時間が異様に長かったらDを前倒しすればいいし、D自体も時間が掛かるようであれば、未だ部屋隅に残された爆発物を処理したり空き缶処理のをすればいい...って、リサイクルの日っていつだったかな。もういっそコンビニとか周って廃棄したいけど...それはダメ、だよね?
「......よし、」
段取りは決まった。決まれば善は急げである。
普段使いの鞄の中に必要最小限の物を入れてお隣さんへ。そして、サンタばりのゴミ袋(大)を2袋も持って私はエレベーターへと乗り込んだのだった。
2019/11/15
[ 戻る / 付箋 ]