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Necessary

こんなことアテツケに過ぎないことくらい分かっていた。つまらないことをしようとしていることも。
だけど...同じ価値観を得るために、同じことを理解するために、そう言い聞かせながら待つ時間は長い。出来れば来て欲しくない。だけど、もう待ちぼうけもしたくはない。

矛盾した考えを持つ矛盾した自分は、ただただ指定された場所で待っていた。


「あの子は友達だよ」
そう言われて、見苦しい真似なんかしたくなくて...無理に笑って頷いた。
「あの子」も「この子」もみーんな友達で仲間で、驚くほど仲が良いことは決して悪いことじゃない。だけど、私はその枠の外へと勝手に追いやられて、誰一人友達じゃないことに気付いてないんだよね貴方は。ねえ、異性の友達って何だろう。どんなだろう。大切なものだろうか。少なくとも...彼女より大事かな。

最後に二人で会ったのはいつだったっけ。もう思い出せないんだけど。
.........ああ、課題出来てないから写させてって言って来た日が最後かな。図書館で会った。それっきり。


「こんにちは」

大きな時計台の下。沢山の人が往来するなか、ふと影が出来たかと思えば立ち止まった人がいた。
時刻は午後1時で指定された約束の時間。ああ...来なければ来ない方が良かった、の人が何も知らずに目の前で微笑んでる。

「君が読んでるのって、コレ?」
「あ...はい」
「やっぱり。間違ってたらどうしようかと思った」

第一印象は出会って数分で決まるっていうけど、今、目の前にいる人の印象は柔らかいものだと思った。しかも、綺麗な顔立ちで綺麗な微笑みで、凄く人が良さそうなカンジで...ズキリと胸が痛んだ。

「遅れないように来たつもりだったけど待たせちゃったかな?」
「いえ...私もさっき来たところでしたから」
「そっか。でも待たせてごめんね」

「ごめんね」なんて言葉、何か久しぶりに聞いたような気がしてまたズキリ、胸が痛む。
待ちぼうけなんて良くあることで、ドタキャンだって頻繁にあることで、だけど謝罪の言葉なんて聞いたことがない自分。それが当たり前になっているんだ。ってことに気付かされて少なからずとも驚いた。顔に出さないように。

「とりあえず場所変えようか。陽射しも強いし肌に良くないよ」

にこっと微笑んだ顔が眩しくて、彼を利用しようと此処に来ていた私には痛く突き刺さるものがあった。



―――PM 1:05


(9/28)
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