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Happy birthday to you.

白ひげ海賊団の宴は最低でも週に一度は行われる。
あくまで最低週一であって、何かあればすぐに宴が開催されるのでほぼ毎日と言っても過言ではない。
おとといはサルベージに成功、そこそこ金目な物を手に入れた→宴。昨日は海軍と一戦交え、完全勝利→宴。と、こんな調子で宴は行われるんだ。

で、本日は...最低週一の誕生日を祝う日だった。
船員約1600名は伊達じゃなく、毎日誰かの誕生日がやって来る。勿論、自己申告制であるから一年に数回誕生日を迎える者もいる。迎えぬ者もいる。

「この一週間に、おれの家族として産まれたヤツは誰だァ?」

と、お父様が聞けば誰かが手を挙げる。そして、私も小さく手を挙げて...すぐに降ろした。

「自己主張が足りねェなァ」
「マルコ」
「もっと手ェ伸ばせば誰かが何かくれるよい」
「別にいいのよ。もう祝われても嬉しくない年だし」

今更、祝いたい年齢でもなくプレゼントが欲しいわけでもない。ただ、お父様に「おれのために産まれ、此処へ辿り着いてくれてありがとう」と言われたいだけで他には何もない。それに毎年毎年、ただただ年を取っていくのよ。ある意味、恐怖でしかない。

「そうかい。折角、用意したんだがなァ」
「プレゼントを?私に?」

そう聞くと、マルコは普通の顔をして頷いた。
珍しい事もあるもんだ...というより、初めてだ。いや、そこよりも何故私の誕生日を知ってるのか。

「正確には誕生日プレゼントではねェよい」
「.........そうよね。教えた覚えないもの」
「けど、お前に渡そうと思ってたプレゼントには違いねェけどな」

そう言われ、適当に渡された箱。確かにシックだけどプレゼント包装されている。

「もらっていいの?」
「それはフツーに開けていいかを聞くべきだろい」
「いや、一応受け取っていいか許可もらっておこうと思って」
「一応も何もお前のだよい。受け取って素直に開けとけばいいよい」

つまり、目の前で開けろってことだ。
まさか今更...お揃いの指輪なんかでお互いを縛ろう、なんて考えていないだろうか。もしそうだったら...正直突き返す自信がある。そんなカタチに拘る関係なんて年じゃないことくらいマルコにも分かっているはず。出来ればそうじゃないように願って、ゆっくりと箱を開けた。

「.........ピアス」

正直、ホッとした。

「前のはおれが取っちまったしねい。今のは戦利品。だから新しく買ってきた」

青い、雫型のフックピアス。
これが何で出来ているのかは知らないけど、まるで海のような色。

「有難う...」
「指輪の方が良かったかい?」
「そうしてたら突き返してた」

そう言うと思った、とマルコは笑った。
「誕生日おめでとう」と言ったかと思えば、無理やりに今のピアスを引っこ抜かれた。




Happy birthday to you.




月色のピアスから海色のピアスへ。
引き抜かれた方は丁重に箱にしまわれて私の元へと返された。

「ねえ、私の前のピアスはどうしてるの?」
「ん?」
「付ける気があるなら穴開けてあげるわよ」
「付けるつもりはねェなァ。けど、返す気もねェ」
「何それ」
「アレを見るとお前が月に帰っちまいそうだからねい」
「.........それ、今度捨てましょ。一緒に」

月蝕を懇願する目
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