#12
「やばいやばいやばい!」
「......いいから落ち着け」
「落ち着けないよ!今なら死ねる!」
「......死ぬなよ」
だって!お守り貰った!エースさんから!
「私...これ抱いて寝る」
「付けろよ鞄か何かに...」
嫌だ。鞄に付けたら失くす。だからポケットに入れとく。
凄く嬉しかった。物を貰っただけじゃくて気持ちも込めて貰って、凄く凄く嬉しかった。もしかしたら気まぐれだったかもしれないけど...それでも嬉しいものは嬉しい。
好きな人からの、プレゼント。
「本当に...我が人生、一片の悔い無し!」
「いや、あるだろ...」
「無い!今なら殺されてもいい!」
「.........馬鹿か」
今は何を言われても痛くも痒くも無い。
ピンク色のお守りを眺めてグフグフ笑う宍戸は呆れ顔でも本当に痛くも痒くも無い。もうね無敵よ無敵。何も怖くない。
「.........?」
グフグフ見つめていたお守りに不思議な手触りを感じた。
お守りってちょっとした小袋で中に祈願の芯みたいなのが入っている。でもその芯が...ちょっとだけイビツ。
「どうした?」
「え?何でもなーい」
「......頼むから落ち着けよ」
「努力はする!」
そんな会話をして着いた私の家。
宍戸とバイバイして急いで戻った私の部屋。
ダメだと分かりながら紐解いたお守りの中に、正体は隠されていた。
――合格しますように。
心臓が、空高く突き上げた気がした。
2017/02/22 11:03
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