#01
何故、今日に限って私ってば"コレ"を断らなかったんだろう......
「うおお、すっげェ豪華」
「.........ちょっとボニー、涎拭いて」
「こんなすげェ料理タダ食っ、」
「し・ず・か・に」
出来れば控えめに、控えめに...そう、ついに私は空気になる日がっ、
「今日はお誘い頂いて有難う御座います。ほら、二人ともっ」
「お世話になりまーす」
「.........よ、ろしく」
ヤバイ、声がめちゃくちゃ掠れて語尾消えた。
なんたってナミはこの人たちと知り合いなんだ?こんな濃いメンバー揃えてるとか本当に聞いてない。なーにが「すっごく素敵な人たちよ」だ。そりゃ素敵か素敵じゃないかと言われれば...私以外の女性からすれば分類カテゴリはSSクラスで素敵かもしれないよ。かもしれないけど...
「.........大丈夫なのアンタ」
うんおk。大丈夫じゃないけど。
とりま下向いてれば難は乗り切れると信じてる。信じてるよ私!
「なァなァ、もう食っていいの?」
「一回乾杯したら好きに食うてええよ」
「マジか。じゃカンパーイ!!」
「ちょっ、ボニー!!」
.........うん、ボニーがいれば嫌でもボニーが目立つ(キリッ
ボニーに続いて皆が次々と乾杯し始め、私も俯いたままグラスを交わしてく。勿論、それが誰のかは見ないようにして。
と、その時、最後にグラスをカチーンした人が「本当だったら」と呟いた。この声は...多分あの人だ。
「もう一人、おれの部下が来る予定だったんだがねい」
ヒイイイイイ。
「ああ、マルコさんがいつも連れてる、」
「よう食べるソバカスくんやね」
「そう。ちょっとミスあって残業してるよい」
いやああああああ。
って待て。むしろ、アレがやって来てた暁には説教沙汰で食事どころじゃなかった、はず。
「あは、は...」
「ん?そういやあの人、確かポー...」
「い、いっただきまーす!!」
「ちょっとアンまで何食欲に走ってんのよ!!」
――ポートガス・D・アン。それが私の名前です。
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