#02
私はしがないアルバイトだ。
適当に進学して適当に大学を終えて、特にやりたいことも見つからなくて適当にバイトとして就職した。それから数年経つけど未だバイトで正社員じゃない。そのことで親には心配を掛けているのが現状だけど今のところ不自由はない。
強いて言うなら食生活が乱れてるくらい。
「.........あ、キミは...」
今日も今日とて何かを作る気分じゃなくお弁当でも...と立ち寄ったコンビニでお隣さんと会った。例の大きな人。
お弁当コーナー横に設置してあるアイスコーナーで何やら物色中だったみたい。
「今仕事帰り?」
「あ、はい...」
「遅くまで大変だねェ」
.........現在の時刻、9時半を過ぎたとこ。
そんなに遅い時間だとは思えないけど、とりあえず話を合わせて軽く愛想笑いしとく。何となく前回のこともあって警戒態勢。
「これから食事なの?」
「は、はい」
「おれは食後のデザート買いに来たとこ。奇遇だね」
「は、い。とっても奇遇...」
へらへらっと笑う相手を目の前に多分私はヒクヒクっとした笑みを浮かべてることだろう。
その昔は向こう三軒両隣なんていう言葉通り、近所の人と仲良くしましょうねーみたいなカンジはあったと思う。だけど、今はそういうのも少なくなって...むしろ、隣の部屋にいる男性とか親しくすると危ない!なんてことを言われる時代だ。つまり、この人も例外ではないわけで。
「よーし、頑張ってるキミにオジサンがデザートプレゼントしちゃおう」
「えっ!?」
「どれが好き?」
「あ、いや、その、」
「遠慮しなくても大丈夫、大丈夫」
今日はお金に余裕あるから、なんて、そんなこと知らない。
「おれとしてはこの―...」
「し、失礼します!!」
「.........あ、」
悪い人じゃないかもしれない。だけど危ない人である可能性は捨て切れない...そんな思いから私はそのコンビニで何も買うことなく猛ダッシュで逃げ出した。
2013/09/28 16:54
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