NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
薄気味の悪い洋館前。
館の周りの景色にそぐわない程の明かりはある。
だけど、入るには勇気が必要なくらい不気味だった。

「月夜の晩餐へようこそ」
「あれ?あんたピヨシ?」

その不気味な屋敷の前、小洒落た日吉はいた。
いつもはキノコ頭のはずなのに何故かオールバックになってる。
ムースで固められた髪型。似合うような、似合わないような…

「ピヨシではありません。執事の日吉です」
「やっぱピヨシじゃん。てか、何その頭…」
「……時間が勿体無いのでお入り下さい」

髪型を指摘したのが悪かったのか、ムッとした表情の日吉。
嫌な音を立てて開かれた扉の向こう側へ…
日吉による無言の圧力で追いやられるような感覚がした。

屋敷の中へ
氷帝編攻略ヒント
氷帝編フローチャート





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
「晩餐までに時間があります。ご自由に屋敷をお回り下さい」
「薄暗くって回りづらいんだけど?」
「……ここは最小限の灯りしか付きませんから」

古いけど立派な建物の分際で電気が付かないと?
手早くリフォームすることを薦めるわ。いっそ作り変えてもいいくらい。
それにしても…本当に薄気味の悪い玄関ホール。
正面が大広間だと思われる部屋の扉がある。
左右にも部屋らしき扉。螺旋階段の上にまた一部屋の扉…
廊下に煌々と光るランタンの灯りが更に不気味さを演出している。

「……回らないといけないわけ?」
「私と時間を潰されても結構ですが?」
「……遠慮します」

日吉なんかじゃ時間は潰れない。確実に自信がある。
感情は微妙に欠落してるし、会話は続かないし…役にも立たないわ。
仕方なく暗がりの廊下を眺めながら、向かうべき先を選んだ。

1F 右の部屋へ
1F 左の部屋へ
2F 奥の部屋へ





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
どうやら、この部屋は書斎らしかった。古い本の香りがする。
沢山の本棚に囲まれた部屋、その一角に光がある。

「あーあ、腹減った」
「結構待ちますものね…」
「あ、チョタと宍戸だ」

黒スーツに大きな十字架付けた長太郎に…
猫耳尻尾な宍戸が書斎の窓際に立っていた。

「うわ…ちょっと可愛いじゃん。宍戸〜」
「……お客のようですね、しかも人間の」
「ああ…って、俺の尻尾を勝手に触んな!」

良く見たら猫耳ではないカンジ…シャープじゃないし。
ピクピクッと動く耳を触ってみようか…と意気込めば睨まれた。
いやいや…触らずにはいられないでしょ?普通は。
はてさて、今からどうしてくれようか…?

耳尻尾付き宍戸に
十字架を提げた長太郎に





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
「……ハッ!」

宍戸が少し目を逸らした瞬間、掴んでやった。耳を。
ふわふわした手触り、血の通ったぬくもりがある。
偽物…ではなさそうなカンジのモノだった。

「痛ってぇ!」
「作り物…ではなさそうね」
「自前だ!噛み殺すぞ、ゴラァ!」

どうやら、自称自前の耳を掴まれてご立腹な様子。
まぁ…どんなに粋がっても宍戸は宍戸。
素敵な牙を見せられても恐怖の"き"の字も出ない。
むしろ、可愛らしいったらありゃしない。宍戸だけど。

「はいはい。もう触りませんよ」
「当たり前だ!」
「ケッ、宍戸のくせに」

十字架を提げた長太郎に
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
「チョタは似合うね。その格好」
「……チョタって俺のことでしょうか?」
「他に誰がいるよ」

黒の神父服…にしては派手だけど、これくらいがチョタによく似合う。
爽やかな顔して黒い心を持ったチョタにはピッタリだわ。
ジャラジャラしすぎた装飾品がまた素敵。1個欲しいわね…

「ねぇ。そのブレス頂戴よ」
「…はい?」
「ブレスレットよ、ブレスレット!」

半ば無理やりにブレスレットを引っ張ってみる。
するとチョタは仕方なくそれを私に手渡してくれた。
物凄く嫌そうな…呆れたような顔をして…

「……神のご加護がありますように」
「さんきゅ!」

――ゆいは、チョタのブレスレットを、てにいれた!

耳尻尾付き宍戸に
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
扉の向こう側はやけに騒がしかった。
この不気味な屋敷にそぐわないまでの声が響く。

「もっともっと出して欲しいC〜」
「よっしゃ。ジャンジャカ出すぞ」
「………」

絶句した。ただただ呆れて物も言えないくらいに。
床に雨のように降り注ぐは大量のお菓子の山、山、山。
杖を振り回すがっくんの傍にいるのは、お菓子を頬張るジロ。
な、何だろうか。この光景は……

「あ、君も食べなよ。ジャンジャカ出すからさ!」
「この部屋いっぱいお菓子にしちゃおうよ〜」

普段と違う姿の割に、やっていることはいつもと同じ。
これだから部室を片付けても片付けても無駄なのよ。
何となく安心する二人ではあるけど…どうしようか。

杖を振り回すがっくんに
お菓子を頬張るジロに





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
「……やけに似合うわね。その衣装」
「あ?新調したんだぜ。このマントと杖!」

机の上に胡坐を掻いて、ずっと杖を振り回すがっくん。
その杖からは光が放たれて…そしてお菓子がどんどん降って来る。
一体、どんな仕組みで出来ているのか、このオモチャは。

「そんなんどうでもいいから食えって」
「あ、ありがと…」

半ば強制的に手に握らされたお菓子。
よくわからない異形なモノを見つめて…食べるのを断念した。
ニタリと笑うカボチャのお菓子なんて、ちょっと…

「何だよ。デザインでも気に入らねぇのか?」
「……まぁね。最悪のセンスだよ」
「くそくそッ。何だよ、折角やったのにさ」
「……普通に考えてセンスゼロよ」

お菓子を頬張るジロに
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
「いくら何でも食べ過ぎよ」
「えー?俺、伯爵だからイイんだC〜」
「……伯爵?」

ジロさん曰く、この不気味な屋敷は全て自分の物だとか。
お菓子を頬張っちゃっているジロが伯爵だなんて…
空き巣とか、簡単にありそうなんですが。
ガードを高めにしないと権利書と判子が盗まれますよ。

「どうでもいいんだけど…」
「ふえ?なになに?」
「お菓子、口の周りに沢山付いてる」

どうしようもない自称、伯爵様の口元に付いたお菓子。
たまたまポケットに入っていたハンカチで落としてあげた。

「ほら、これで綺麗になった」
「ありがと。君、やっさC〜」

杖を振り回すがっくんに
玄関ホールへ戻る





















if...の扉 #10

氷帝学園/眠れるヴァンプ
玄関ホールに戻るとピヨシとハギィが何やらコソコソしていた。
当然だけど、そのコソコソに私も参加すべく近づく。

「あ…」
「何コソコソしてんのよ」
「ま、まだ晩餐の準備は整っておりません」

そんなコトは聞いてないです。質問の答えになってないし。
ハギィはハギィで私の顔を見るなり逃げていくし。
カンジ悪い。非常にカンジ悪すぎです、二人ともね。

「とにかく、まだ準備が出来ておりませんので…」
「どっか行けってか?キノコの分際で…!」
「き、キノコ…!」

呼ばれてない晩餐に無理やり参加させといて待たされて。
とりあえず、面白いコトが起こらないとつまらない。
はてさて…別の部屋とへ行くか、ハギィを探すか…

1F 右の部屋へ
1F 左の部屋へ
2F 奥の部屋へ
ハギィを追いかける





















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