いやいやいやー…知らないよ、そんなこと。
そもそも何よそのシンポジウム。テーマ自体がおかしいっつーの。いつから跡部が吸血鬼になったって話。
確かに、たーしーかーに、そのお召物はとてつもなく良くお似合いではありますけど所詮演出っしょ?
そんな演出から訳分かんないテーマを持ち出されましても困るって。しかも共存って…ねえ。
外国に残る古いお話でも人間と吸血鬼(この場合、血を好む人間だけど)とが共存出来たって話は聞かない。
てか、ぶっちゃけ吸血鬼って残酷かつ残忍な連続殺人者をそう呼ぶことがあるだけで実際存在しないし。
シンポジウム議題がおかしいんだ。そう、それ自体がおかしいって私が抗議してやる!
「異議あり!」
「……異議?」
「異議よ異議、いーぎーあーりー!」
ここはバンバン机とか叩いて異議申し立てをしたいとこだけど机無いから地団太踏んで言っちゃうけども。
そんな下らないテーマを以ってこの三人(幹部クラス)が話し合いをしていること自体がおかしいことを真っ向伝えると、
ん?何か様子がおかしくなった。いや、跡部は元より変わった人だけど優しいはずの幸村も無表情さは変わらない手塚も、何か変。
「オイ、人間の犠牲は少ない方がいいよなあ」
「……ああ。出来れば居ない方が好ましいが」
「あの子だったら大丈夫なんじゃない。元気いっぱいだし」
「なら交渉成立、でいいか?」
「一人のために全ては捨てられない。成立だ」
な、何の話だ?100匹の羊飼いの話か?
100匹の中の1匹が居なくなって、1匹のためにリスクを負いながら99匹を残して探しに行くか、99匹を守るために1匹を見捨てるか…
え?今、そんなカンジの話なんかしてただろうか。手塚が、そんな状況下に置かれた羊飼いに見えて来たんですけど。
「君ならすぐに血を作れるだろう。頑張ってくれ」
は、はいい?血を作れるって…そんな意図的に頑張って血なんか作れるか!!
断固抗議しようと手塚の方に突き進もうとしたけど、その行く手を阻むのは…マント跡部っ!
「そこを退け跡部……って、」
ハッと目を覚ませば、見覚えある空が、見えた。てか…私の部屋の、天井?
寝汗をふんだんに掻いて起き上がった私は不意にベッドサイドのカレンダーを眺めた。
10月31日…今日はハロウィン、じゃん。まさか…他校合同のハロウィンパーティーとか予定してない、わよね。
★エンディングNo.06
戻る 始めに戻る 別の物語に移動する「……定期的に輸血パックをあげたら?」
血なら何でもいいんでしょ?だったら輸血パックでどうだろうか。
勿論、貴重な血は無理だろうけどそこは跡部サイドが妥協する点だよね。言い分は聞くわけだからさ。
映画とかみたく首筋から毎度吸われたんじゃ痛いから手塚サイドは嫌がってると仮定してのことだけど。
「輸血パック、か」
「そう。血液凝固も起こしにくくなるよ?」
「バーカ、俺らがそんなヘマするかよ」
「するかしないかは別としてもいいんでしょ?パックで」
そこは絶対に生き血じゃなきゃいけない!っていうんなら決裂で終わるけどどうもそうじゃないみたいだし?
だったら輸血パックをお一人様一袋ってカンジでいいと思う。てか、何だこのシンポジウム…
「どうなんだい?」
「輸血パックなら…甘んじて用意しよう」
「……上等だ。これで交渉成立だな」
(成立、するんだ)
目の前で熱く交わされる握手を眺め、何だか腑に落ちないものを感じるけどまあこれでいいらしい。
とりあえずこれ以上関わっても良いことはなさそうだから適当なことを言いつつ私はエントランスへと戻った。
エントランスへ
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