テニスの王子様 [DREAM] | ナノ
空があまりにも青かったので

「.........何してん」
「.........やあやあ忍足くん。見ての通りだよ」

ベランダに頭だけ突っ込んどる女子を見て俺は何を思うたらええねん。
死体と対面してもーた気分やったわ一瞬。何かの拍子で転んで後頭部打って死んだかと思うたわほんま。
で、見ても全く何しとるか分からんし...ジャージやしジャージやし何やねん。

「日向ぼっこ。気持ちいいよー」
「.........それ首わざわざ出さんとようない?」
「で、何用?忍足」
「きちんと回答しよな」

彼女曰く、
洗濯物を取り込んでたら何だかとてもイイ天気だったのでついつい日向ぼっこを始めました、とのこと。
うん、そら日向ぼっこしたなる気持ちは分かるで。久々に気持ちええしな。
せやけど、それはベランダから首出しとる理由にはならへんと思う。出さんでもええし。

「大丈夫!微妙なミニ椅子くんが首を守ってくれてるから痛くないし」

それも論点からズレとる気がすんで。段差で首痛めるて分かっとってしとるかいって話や。

「そうやのうてな、首出す必要あるんかって話や」
「逆に、出したらダメって話なの?」
「屁理屈捏ねんなや」
「.........すみません」

よっこいしょとオバハンくさい言葉を口にしつつも起き上がった彼女は、何故か妙にイイ笑顔で俺を手招く。胡っ散臭い笑顔や。

「忍足も転がってみたら分かるよー」
「絶対嫌や」
「何でさ」
「やる理由が分からへんもん」
「気持ちいいんだよ?」
「首出さんでも転がったら気持ちええわ」
「いやいや首出さないと分からないって」
「せやから何で首出すねん」
「空が青いからさ」

空が青いからさ、て、今にも歌い出しそうな雰囲気で両手を広げられても困るんやけど...

「すっごく青いんだよ。私ビックリ」
「俺はある意味、その思考にビックリや」

空が青いからベランダから首出して見てました、て。ほんなら、

「此処の屋上で日向ぼっこしようや」
「えー」
「茶菓子持ってってまったりするんや」
「なら行く行く!」

ジャージのまま今にも飛び出して行きそうな彼女を制しながら開いたままのベランダを閉めた。
その時、確かに空は青くて...少しだけその青に感謝した。

title by 27(お題サイト)


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