俺はあいつを泣かせても笑わせることは出来ない。
梨本ならあいつを泣かせても笑わせることが出来る。
あいつはそんなお前だから良いんだよ。
俺には到底無理な話だ。
梨本、お前なら分かってくれてた筈だろ?
ならどうしてそんな顔するんだよ。泣きそうなんだよ。あいつを俺に任せて走っていくんだよ…!
あいつは俺じゃなくてお前を待ってんだよ。俺じゃ、ねーんだよ。
「あ、粟田っく、ん…」
泣きじゃくるこいつを俺は思い切って抱き締めた。ほら、駄目なんだよ。俺じゃ。
俺じゃ
俺じゃ
俺じゃ……
「俺じゃ、駄目か……?」
三秒後の後悔
(もう遅かった)