「……離して」
「離さない」
「もう、終わりにしよ」
「終わらせない。お前からちゃんと本音聞くまで、絶対」
何度も引っ張ってるのに、掴まれた左手は解かれることはない。引っ張っる度に力を強められ、手首がもう痛いくらいだ。いつもだったら彼はこんな乱暴なことはしない。彼はいつだって優しかった。優しすぎた。
「お前、嘘しか言ってないじゃん。俺馬鹿だけどそれくらい分かるし」
「粟田は馬鹿だよ。だって私、嘘なんて言ってないもん」
君は馬鹿で優しすぎるから、私が辛いの。私中心に君は動いてるから。そんなの、
「俺はお前の本音しか聞かない」
嘘で塗り固めてしまえると思ってた
(嘘を言わない君に嘘は通用しない)
title:ポケットに拳銃