久しぶりに会った拓矢は、背が伸びていて髪型は相変わらずで、中学時代はまだあどけなかった表情は少し大人びたものに変わっていた。長くは滞在しないつもりなのだろう。手にしている荷物は小さい。



「…久しぶり」


「おー」



ふざけあっていたあの頃はもう昔となってしまった。今は目の前の幼馴染みとはどうやって会話したらいいかわからないほどに、私たちは遠くなっている。



「俺の勝ちだから。アイス一個な」


「…え?」


「え?ってお前ー…」



苦笑する拓矢の顔を見ていたら急にその言葉の意味が、内容がフラッシュバックしてきた。



『先に彼氏、彼女が出来たらアイスね!』



言い出したのは私。拓矢がここを発つ日、勢いで突きつけた勝負。こんなに突然に決まるなんて思いもしなかった。こんなに後悔するなんて思いもしなかった。



私は、拓矢が好きだった。










この伝わることない想いとか、
(ほら、おめでとうって言わなきゃ)


title:ポケットに拳銃




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