「眞古都のクラスには学園唯一の女子がいるのね」


「なんで知ってるの」


「梨本っちから聞いたの」


「"っち"って何よ」


「愛称愛称」




で、とベットで寝転んで彼女はぐるんと回転して枕に顎を載せ僕をじっと見つめてきた。視線が気になり、雑誌をめくる手を止め彼女に目を向ける。




「どうなの」


「どうもこうも、何が?」


「眞古都は好きになっちゃったりしないの」


「好きになっちゃったりして欲しいの?」


「…別に」




ぼすっと頭を埋めた彼女の髪に指を絡める。その淑やかさは僕でさえも羨む。普段から髪に気を使っているだけある。髪を気にするなら言動ももっと女の子らしくすればいいのに、なんてのは常々。




「そうだなー。凄く良い子だよ。女子一人で入学してきたくらいだから意思も強いし、かといって頑固過ぎる訳じゃない。人一倍努力して部活も生徒会も保健係も勉強も全部こなすんだ。見た目も可愛くて、たまに抜けてるとこもあったりして。誰からも好かれるような、そんな子だよ」


「やっぱり好きなんじゃないの」


「そうだねえ。好きだよ」




黙ってしまった彼女に僕は心で笑った。可愛いとこもあるね。嫉妬なんて。




「勿論likeでね。そんなに拗ねないでよ」









君を繋ぎ留めておくための蜜
(不機嫌な彼女にそっとキスを)


title:ポケットに拳銃



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