いつかは俺たちだって!
お前がいないと調子でねーとか、俺どっかおかしいのかな



隣をチラリ、と見る。誰も座っていない席。
珍しく苗字が休んだ。東月曰く、少し熱があるらしい。
あいつも少し頑張りすぎる所があるし、それが裏目に出てしまったんだろう。
まあ休みと言っても学園内にいるわけだが。



「…もと……梨本!!」



馬鹿でかい声で我に帰ると、教壇で直ちゃんが叫んでいた。
「授業を聞かない余裕な梨本にはこの問題を解いてもらうぞー!」そんな馬鹿な。



「粟田…どこの問題?」

「56ページの問三だよ。ちなみに俺に聞かれてもわかんねーからな」

「期待はしてない」



なんだよー!と文句を言う粟田は放っておいて、問題に目を通す。
あ、これはイケるわ。
黒板に向かい、解答を書き終えて自席に戻ると。
直ちゃんがニヤニヤしながら俺を見ていた。



「残念だったな、梨本……これは引っかけのある問題でその説明はお前がボーッとしている間に済ませてあるのだ!」

「まじかよ…」

「解けなかったんだから課題追加なー!」



今日は、たまたまだよな。
たまたまボーッとしてて、当てられただけで。
いつもは呆けてるわけじゃねーし。
たまたま休みの苗字のこと考えてただけで…



「梨本ーー!飯行こうぜ!!」

「お、おう…」

「なんだよー。まださっきのこと気にしてんのか?」



あいつがいないから気になって
それでいつもの調子にならなくて
そんなの…



「俺おかしいのかも知れねえ…」

「な!?大丈夫か梨本!!」








―お前がいないと調子でねーとか―
(俺どっかおかしいのかな)




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